抗体

当社では、神経科学関連抗体 (アルツハイマー病、パーキンソン病) をはじめ、がん、線維化、オートファジー、microRNAなどの研究分野で使用できる抗体をラインアップしています。特にミクログリアマーカーであるIba1抗体は世界で愛用されています。その他にも二次抗体や抗体作製、抗体改変・標識試薬など特色ある製品を取り扱っています。

抗体とは?

抗体とは動物の免疫反応によって生成される免疫グロブリンタンパク質です。抗体は抗原に対して特異的に結合することから目的タンパク質の分離や検出、定量に使用されています。

図1 IgGの基本構造

構造

抗体の基本構造は2本のH鎖 (Heavy Chain) と2本のL鎖 (Light Chain) がジスルフィド結合で結合したY字型の四量体です (図1)。

H鎖とL鎖のN末端部分は可変領域 (Variable region) と呼ばれ、抗体ごとにアミノ酸配列が異なっています。特に可変領域の中でも抗原に直接接触して結合する相補性決定領域 (Complementarity determining region: CDR) は超可変領域とも呼ばれ、最もアミノ酸配列の多様性に富み、抗原に対する特異性を決定します。

可変領域以外の部分は、一定したアミノ酸配列を持つため、定常領域 (Constant region)と呼ばれます。抗原との結合力にほとんど影響を与えないことから、抗体の修飾や固相化を行う場合はこの領域が利用されます。

分類

哺乳類の抗体はH鎖の種類やY字構造の数によって、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMと呼ばれる5つのクラスに分類できます。さらにIgAやIgGはそれぞれサブクラスに細分化することができます。IgGは血清中に最も多く存在する免疫グロブリンであり、抗原に対する特異性も高いことから免疫学的手法 (ウエスタンブロッティング、ELISA、免疫組織化学など) において一般的に使用されています。

分子量

分子量はH鎖が約50~70kDa、L鎖が約20~25KDaです。IgGの場合、抗体全体の分子量は約150kDaです。

表1 抗体のクラスと分子量

抗体クラス 分子量
IgA 390kDa (2量体+J鎖)
IgD 170~200kDa
IgE 190KDa
IgG 150KDa
IgM 900KDa (5量体+J鎖)

抗体選択のポイント

ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体

ポリクローナル抗体

それぞれ異なった抗原認識部位 (エピトープ) を持つ複数種の抗体混合物をポリクローナル抗体と呼びます。抗原を注射された動物では、抗原に対する様々な抗体が産生され、採取した抗血清をそのまま、もしくは分画してポリクローナル抗体として使用します。

  • 長所
    • 1つの抗原に対して、複数種の抗体分子が結合できるので強固な抗原-抗体複合体を形成できる 。(免疫沈降に有用)
    • 抗原の構造変化などにも適応性が高い。
    • 比較的簡単かつ短期間で製造可能。
    • 生産コストが低く、比較的安価。
  • 短所
    • 非特異的反応が多く、バックグラウンドなどが高くなりやすい。
    • ロット間差が存在する。
モノクローナル抗体

単一の抗原認識部位に結合する単一種の抗体をモノクローナル抗体と呼びます。モノクローナル抗体は抗体産生細胞であるB細胞と増殖能を有するミエローマ細胞を融合させたハイブリドーマから産生されます。

  • 長所
    • 抗体認識部位が単一で、特異性が高い。
    • 抗原の構造や修飾を認識することも可能。
    • ロット間差が小さく、安定した品質の抗体を得られる。
  • 短所
    • 製造に技術や時間を必要とする。
    • 生産コストが高く、比較的高価。
    • 抗原の構造が変化すると結合できなくなる場合がある。

一次抗体と二次抗体

図2 一次抗体と二次抗体

抗原に直接結合する抗体を一次抗体、一次抗体に結合する抗体を二次抗体と呼びます。多くの場合、二次抗体には検出などを目的にあらかじめ酵素や蛍光色素などが結合されています。二次抗体を使用することで、より増強されたシグナルを得ることができますが、二次抗体による非特異的結合や抗体の動物種が制限されることに注意が必要です。

参考文献

武縄忠臣 編, 実験医学別冊 タンパク質実験ハンドブック, 羊土社, 2003
岡田雅人, 三木裕明, 宮崎香 編, 改訂第4版 タンパク質実験ノート 下 タンパク質を調べよう (機能解析編), 羊土社, 2011
若林克己 著, ELISA-A to Z 増補改訂第5版, 富士フイルムワコーシバヤギ, 2017

抗体のラインアップ