Biotium社 TrueBlack® シリーズ
蛍光検出においてバックグラウンドが高くなる原因には、サンプルの自家蛍光や抗体の非特異結合、蛍光色素とタンパク質およびブロッティングメンブレンの結合など複数の原因があります。
TrueBlack®試薬は、免疫蛍光染色およびウエスタンブロッティングにおいて、バックグラウンドの原因となる不要な蛍光をブロックし、S/N比を改善します。
TrueBlack® Lipofuscin Autofluorescence Quencher, 20X in DMF
製品概要
免疫蛍光染色後の組織切片のリポフスチン自家蛍光を抑制する試薬です。リポフスチンは、細胞のリソソームに蓄積する不溶性の色素であり、蛍光顕微鏡においてその自家蛍光が検出されます。リポフスチンは、特に老化したヒト・動物の組織でよく観察され、通常の方法では蛍光観察のバックグラウンド上昇の原因となります。
特長
- リポフスチンの自家蛍光を抑制
- 非リポフスチン由来の自己蛍光も抑制
- スーダンブラックBと異なり特定波長の自家蛍光なし
- 免疫蛍光染色の前または後に使用可能
■ Figure 1:メタノールで固定した成人のヒト脳組織におけるリポフスチン自家蛍光
- 上段
- : 未処理
リポフスチンの自家蛍光が3波長すべてのチャネルで観察されました。
- 中段
- : スーダンブラックB
リポフスチンの自家蛍光は抑制できましたが、赤色光および遠赤色光でスーダンブラックBの自家蛍光が観察されました。
- 下段
- : TrueBlack®処理
リボフスチンの自家蛍光を抑制でき、スーダンブラックBのような強い自家蛍光も観察されませんでした。
Zeiss LSM700共焦点顕微鏡で撮影
■ Figure 2:ホルムアルデヒドで固定したラット腎凍結切片
- 左
- : 未処理 (DAPIで核を染色)
FITCチャネル (緑色) の強い自家蛍光が観察されました。
- 右
- : TrueBlack® で処理した後、核をDAPI(青)で染色
未処理で見られたFITCチャネル(緑色)の自家蛍光を抑制できました。
Zeiss LSM700共焦点顕微鏡で撮影
TrueBlack®による処理は、免疫蛍光染色の前または後に行うことができます。
TrueBlack®を抗体反応前に使用
■ Figure 3: ヒト大脳皮質をCF®488A標識抗-NeuN (神経核、緑) とDAPI (核、青) で染色
- 左
- : 未処理では、リポフスチンが白い斑点 (矢印) として確認されました。
- 右
- : TrueBlack®で前処理後はリポフスチンは確認されませんでした。
TrueBlack®を抗体反応後に使用
■ Figure 4:ヒトの脳切片を抗Glial fibrillary acidic protein抗体とCF®640R標識ヤギ抗ウサギ (マゼンタ)、DAPI (核、青) で染色
- 左
- : 未処理の組織ではリポフスチン (矢印) 自家蛍光が観察されました。
- 右
- : 染色後にTrueBlack®で後処理した条件ではリポフスチンの自家蛍光が観察されませんでした。
TrueBlack® Plus Lipofuscin Autofluorescence Quencher, 40X in DMSO
製品概要
TrueBlack®Plusは、Biotiumの化学者が開発した次世代のリポフスチン消光剤です。 TrueBlack® Plusは水溶性なので、エタノールの代わりにPBSでクエンチできます。最小限の遠赤バックグラウンドでリポフスチンの自己蛍光を大幅に低減します。
オリジナルのTrueBlack® Lipofuscin Autofluorescence Quencher, 20X in DMF(メーカーコード:23007)は、スーダンブラックBの代替として開発されました。
これは、スーダンブラックBよりもはるかに低いバックグラウンドでリポフスチン自家蛍光を消光しますが、低レベルの遠赤バックグラウンドを導入します。
また、スーダンブラックBと同様に、オリジナルのTrueBlack® クエンチャーによる処理は70%エタノールで行う必要があります。これは、一部の染色プロトコルや標本タイプとは互換性がありません。
TrueBlack® Plusは、元のTrueBlack® よりもバックグラウンドがさらに低い水性バッファーでリポフスチンをクエンチできるように開発されました。 PBSでの消光は、厚いサンプルの場合、収縮なしでより長いインキュベーション時間を可能にし、疎水性染色剤と互換性があります。
特長
- オリジナルのTrueBlack®(メーカーコード:23007)よりも遠赤のバックグラウンドが低いリポフスチンをクエンチします。
- 70%EtOHの代わりに水性バッファーで使用できる唯一のリポフスチンクエンチャーです。
- 厚いサンプルをバッファーでクエンチする場合、収縮なしでより長いインキュベーション時間を可能にし、疎水性染色剤と互換性があります。
- 危険な溶剤はふくまれていません。
- 赤血球や細胞外基質など、他の発生源からの自家蛍光を低減します。
■ Figure 1:各処理におけるリポフスチン自家蛍光の比較
サンプル:ヒト大脳皮質凍結切片(メタノール固定)
未処理 (Untreated)
すべてのチャネルで蛍光を発する明るい点状スポットとして現れ、 マージされた画像はピンク色に見えます。
Sudan Black B in 70% EtOH
スーダンブラックBを使用した従来の処理では、高レベルの遠赤バックグラウンド蛍光が発生します。
TrueBlack® in 70% EtOH
リポフスチンの自家蛍光はなくなりますが、低レベルの赤/遠赤の蛍光が発生します。
TrueBlack® Plus in PBS
70%エタノールの代わりにPBSを使用し、遠赤バックグラウンドの最低レベルでリポフスチン自家蛍光を消光します。
TrueBlack® IF Background Suppressor System
製品概要
免疫蛍光染色 (IF) の際に生じる非特異染色を抑制するバッファーシステムです。抗体の非特異結合だけでなく、蛍光色素そのものの細胞や組織への非特異結合も抑制します。
特長
- 抗体の非特異結合および蛍光色素の非特異結合を抑制
- わずか10分で完了
■ Figure 1:メタノールで固定されたHeLa細胞に二次抗体のヤギ抗マウス抗体 (蛍光標識はCF4055、Alexa Flur 647、Cy5.5の3種類) のみを反応させ、非特異結合の程度を調べた。
- 上
- : 魚ゼラチンをブロッキングとして使用
二次抗体の非特異結合が観察されました。
- 下
- : TrueBlack® IF Background Suppressorを使用
二次抗体の非特異結合を抑制できました。
■ Figure 2: HeLa細胞をCF®555Mix-n-Stain™標識抗ヌクレオリン (核小体) 抗体で染色しました。
- 左
- : ゼラチンブロッキングバッファーを使用
核小体だけでなく、細胞膜も染色される非特異反応が観察されました。
- 右
- : TrueBlack® IF Background Suppressorを使用
細胞膜への非特異反応が抑制されました。
TrueBlack® WB Blocking Buffer Kit
製品概要
蛍光検出ウエスタンブロッティング (WB) 用のバックグラウンドを低減するバッファーシステムです。抗体とタンパク質との非特異結合、抗体のメンブレンへの吸着、メンブレンの自家蛍光を抑制します。
特長
- 抗体の非特異反応とメンブレンへの吸着を抑制
- PVDFおよびニトロセルロースメンブレンの自家蛍光を抑制
- TBSベースのバッファーで抗りん酸化抗体にも使用可能
*HRP (ペルオキダーゼ;POD) 標識抗体には適していません。
■ Figure 1:抗マウスチューブリン抗体のウエスタンブロット検出
- 2次抗体
- : Alexa Fluor® 790標識ヤギ抗マウス抗体
- サンプル
- : HeLa細胞のトータルタンパク質
レーン1: 10 µg
レーン2: 1 µg
レーン3: 0.1 µg
- 左
- : 魚由来ゼラチンをブロッキング試薬として使用
- 右
- : TrueBlack® WB Blocking Bufferを使用
魚由来ゼラチンで観察されたバックグラウンドを抑制できました。
製品一覧
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