アジュバント / ワクチン研究に期待されるリピドA

ペプチド研究所 Lipid A (Alcaligenes faecalis)

本品はAlcaligenes由来のリピドAです。自然免疫活性化因子として知られるリピドA類の中でも毒性が少なく、免疫系を効率的に活性化して抗体産生を増強します。その為、ワクチンアジュバントとして極めて有望な化合物です。化学合成品であるため、天然由来の不純物が混入する心配は無く、安心してご利用いただけます。また、脂肪鎖長も完全にコントロールされた単一化合物です。

Lipid A (Alcaligenes faecalis)の構造

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Lipid A について

リピドAは、グラム陰性菌の外膜を構成するリポ多糖 (LPS) の活性中心です。LPSは、グラム陰性菌の内毒素 (エンドトキシン) の本体として知られています。ヒト免疫システムがリピドAを感知するとグラム陰性菌の感染に対する免疫応答を開始します。リピドAには、アシル基の数、鎖長、結合パターンが複数存在し、構造のわずかな違いにより活性が大きく変わることが知られています。 本化合物は、ヒト、サル、マウスの腸内パイエル板組織内共生菌 (Alcaligenes faecalis) から単離、構造決定されたリピドAと同じ構造を有する化学合成品です1),2)

リポ多糖(LPS)の構造

有効性と安全性に優れた注射型アジュバント活性

國澤、深瀬、清野らは、化学合成したAlcaligenes由来のリピドAを用いたマウスへのワクチン接種試験を行い、本化合物がIgG産生応答を誘導する一方、顕著な副作用がないことを示しています3)

実験的なモデル抗原である卵白アルブミン(OVA)にA. faecalis リピドA 1μgをアジュバントとして添加して、Balb/cマウス(8週齢メス)に1週間間隔で2回、皮下免疫し、最終免疫から1週間後に血清を回収し、ELISA法によりOVA特異的なIgG抗体を測定した(左図)。また、副作用の指標として、免疫開始から採血までの2週間の体重を経時的に測定した(右図)。 免疫していないマウス(○)、OVAのみを免疫したマウス(●)、OVAとリピドAを免疫したマウス()。

また、粘膜アジュバントとして動物実験で汎用されるコレラ毒素との比較実験においても、コレラ毒素よりも強いIgA、Th17応答を誘導する一方、免疫による局所炎症を誘起せず、感染時のみに迅速な応答を誘導することを報告されています4)

ヒト末梢血単核細胞 (PBMC) においても抗体産生を促進するサイトカインIL-6産生を誘導することから、本化合物は今後ヒトワクチンアジュバントへの応用も期待されています3)

マウス骨髄細胞からGM-CSFを用いて分化させた樹状細胞(左図)、もしくはヒト由来の末梢血単核細胞(PBMC)(右図)を A.faecalis リピドAで刺激し、48時間培養後にCBAキットにより培養上清中のサイトカイン(IL-6)を測定した。

  • データは国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 國澤先生、細見先生よりご提供いただきました。
  • 本製品は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所および一般財団法人阪大微生物病研究会よりペプチド研究所が特許実施許諾を受けて、製造販売を行っています。

参考文献

  1. WO2018155051A1.
  2. A. Shimoyama, F.D. Lorenzo, H. Yamaura, K. Mizote, A. Palmigiano, M.D. Pither, I. Speciale, T. Uto, S. Masui, L. Sturiale, D. Garozzo, K. Hosomi, N. Shibata, K. Kabayama, Y. Fujimoto, A. Silipo, J. Kunisawa, H. Kiyono, A. Molinaro, and K. Fukase, Angew. Chem. Int. Ed., 60,10023 (2021). DOI: 10.1002/anie.202012374
  3. Y. Wang, K. Hosomi, A. Shimoyama, K. Yoshii, H. Yamaura, T. Nagatake, T. Nishino, H. Kiyono, K. Fukase, and J. Kunisawa, Vaccines, 8, 395 (2020). DOI: 10.3390/vaccines8030395
  4. K. Yoshii, K. Hosomi, A. Shimoyama, Y. Wang, H. Yamaura, T. Nagatake, H. Suzuki, H. Lan, H. Kiyono, K. Fukase, and J. Kunisawa, Microorganisms, 8, 1102 (2020). DOI: 10.3390/microorganisms8081102

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