ジギトニン

ジギトニン(Digitonin)は、ゴマノハグサ科植物ジギタリス(Digitalis purpurea, Digitalis lanata)の種子、葉より得られるスピロスタン骨格を持つサポニンの一種です。マイルドな非イオン性の界面活性剤で、膜タンパク質の可溶化、細胞膜の透過化、ミトコンドリアの単離、コレステロールの定量などに幅広く使用されています。
また、ドーパミン受容体、β-アドレナリン受容体、GABA受容体などの神経伝達物質受容体の可溶化の実績もあります。 Blue-Native PAGEやクライオ電子顕微鏡で膜タンパク質を解析する際にも、ジギトニンは使用されています。

ジギトニンは、水溶性の低さが使用時の難点となる場合がありますが、当社では独自の精製法により、水に可溶なジギトニン 生化学用(Water Soluble)もラインアップしています。

  • CAS RN® 11024-24-1
    Molecular Formula C56H92O29
    Monomer MW (Da) 1,229.31
    Micelle MW (Da) 70,000
    CMC (mM) 25°C <0.5
    Aggregation number 60

水溶性(10 w/v%) 参考データ

当社ジギトニン 生化学用(Water Soluble)と他社ジギトニンWater Soluble品の水溶性を比較しました。室温または60℃において、10 w/v%濃度でジギトニンを溶解し、4℃で保管した後、OD値(600nm)の測定を行いました。

  • Alt: Solubility in water and stability of aqueous solution of water-soluble Digitonin
    • 使用した製品:
      - 当社ジギトニン 生化学用(Water soluble, 043-21371)
      - A社 water-soluble ジギトニン
    • 当社品ロットNo.:PTF7501
    • 溶解濃度:10 w/v%
    • 溶解条件:
      1. 室温、5分間撹拌
      2. 60℃、5分間インキュベーション
    • 溶解後の保管温度:4℃
    Solubility in water of water-soluble Digitonin at 60℃ and stability of aqueous solution

溶解条件 1 : 室温で溶解 → 4℃ で15日間保管

当社ジギトニン 生化学用(Water Soluble) :

Day 10まで目立ったOD値の上昇は見られませんでした。

A社 water-soluble ジギトニン:

Day 1よりOD値の上昇が見られました。

溶解条件 2 : 60℃、5分加温で溶解 → 4℃ で15日間保管

当社ジギトニン 生化学用(Water Soluble):

実験終了まで析出は見られませんでした(Day 15)。

A社 water-soluble ジギトニン:

Day 13に析出が見られました。

  • 10 w/v%濃度での溶解性試験は参考データであり、本製品の規格は4%水溶状試験適合となります。

規格

ジギトニン 生化学用(Water Soluble) ジギトニン 和光特級
外観 :白色~ほとんど白色,粉末 外観 :白色~ほとんど白色,結晶~粉末または塊
水溶状(4 %) :試験適合 エタノール溶状 :試験適合
乾燥減量(105 ℃) :6.0 %以下 乾燥減量(105 ℃) :6.0 %以下
比旋光度[α]D20
※(c=5,CH3COOH)(乾燥後)
:- 47~-50 ° 比旋光度[α]D20
※(c=5,CH3COOH)(乾燥後)
:- 47~-50 °
強熱残分(硫酸塩) :0.2 %以下 強熱残分(硫酸塩) :0.2 %以下
鋭敏度 :試験適合 鋭敏度 :試験適合

参考文献 - ジギトニンの用途例

Adjubant for Antisense Morpholino Oligonucleotides.
Saponins as Natural Adjuvant for Antisense Morpholino Oligonucleotides Delivery In Vitro and in mdx Mice
Wang M. et al.: Molecular Therapy Nucleic Acids, 11, 192 (2018).

Permeabilizing cell membrane to form semi-intact cells.
Reconstitution of nucleocytoplasmic transport using digitonin-permeabilized cells
Kose S. et al.: Nuclear Bodies and Noncoding RNAs. Methods in Molecular Biology, 1262 (2015).

Permeabilizing cell membrane to detect endogenous LC3 by the antibody.
Lysosomal Turnover, but Not a Cellular Level, of Endogenous LC3 is a Marker for Autophagy
Tanida I. et al.: Autophagy, 1(2), 84 (2005).

Isolataion of dystrophin from digitonin-solubilized skeletal muscle membranes.
Association of dystrophin and an integral membrane glycoprotein
Campbell K. and Kahl S.: Nature, 338(6212), 259 (1989).

Purification of D2-dopamine receptor.
Purification and characterization of the D2-dopamine receptor from bovine anterior pituitary
Senogles SE et al.: THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, 263(34), 18996 (1988).

製品一覧

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ジギトニン(4 %水溶状:試験適合)

ジギトニン

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