膜タンパク質可溶化剤

膜タンパク質の研究において、ターゲットタンパク質の変性を抑えつつ可溶化できる界面活性剤の選択が重要です。
ジギントニンはサポニンの一種で膜タンパク質の可溶化剤として使用されていますが、水に難溶である点が課題でした。当社のジギトニンは従来品よりも水に溶けやすく、抽出バッファーの調製が容易です。
CHAPSやTritonなど定番の可溶化剤は同仁化学製品をご参照ください。可溶化剤スクリーニングセットも提供しています。

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膜タンパク質可溶化の意義

生命の最小単位である細胞や細胞内小器官(オルガネラ)は、膜によって内と外に区別されています。膜の基本構造はリン脂質二分子層です。細胞が生きていく上で必要な物質の輸送、エネルギーの変換、情報の伝達はすべてこの膜を介して行われます。この膜の機能の大部分は膜に存在する膜タンパク質によって行われます。これらの膜タンパク質の構造や機能を解析する場合、目的とするタンパク質を抽出(可溶化)・精製する事が必要不可欠です。
膜に強く結合しているタンパク質は次のようにイメージできます。タンパク質の疎水部はリン脂質二分子膜の疎水部に埋没し、親水部は水相に突き出した状態にあります。このように水に不溶な巨大分子を取り出す(可溶化する)には、界面活性剤の助けを必要とします。界面活性剤はタンパク質の疎水部に相互作用し、タンパク質を水になじませ水相に可溶化する事ができます。

図1 膜タンパク質可溶化のイメージ

 

膜タンパク質可溶化剤に求められる性質

膜タンパク質を可溶化する場合、最も重要なことは、目的タンパク質を失活させないで取り出すことができる界面活性剤の選択にあります。一般的に、膜タンパク質の可溶化等に用いる界面活性剤には下記のような性質が望ましいです。

1) 可溶化能が高い(少なくとも、目的のタンパク質を十分可溶化できること)。
2) 目的のタンパク質を変性・失活させないこと。
3) タンパク質の活性測定系で妨害作用を示さないこと。
4) 低温でも十分な水溶性を持っていること。→通常タンパク質は0〜4℃で取り扱うことが多い。
5) CMCとミセルサイズが適当であること。→界面活性剤の除去やゲルろ過を行うときに重要。
6) 紫外部吸収を示さないこと。→ 280 nmでのタンパク質の定量が可能。
7) 毒性がないこと。
8) それ自身を定量する簡便な方法があること。
9) イオン交換クロマトグラフィーを行う場合は、非イオン性であること。

現在のところ、すべての膜タンパク質の可溶化に有効な万能の界面活性剤は知られていません。試行錯誤を繰り返しつつ選ばれているのが現状です。また、界面活性剤の使用条件の最適化、例えば界面活性剤の濃度、界面活性剤と膜の比率、緩衝液の種類、pH、共存イオン、脂質添加の可否、温度等について考慮、検討する必要があります。

本記事は同仁化学研究所 プロトコル集 「膜タンパク質等を可溶化したい」より一部抜粋して掲載しております。