ゲル染色試薬(銀染色)

電気泳動(PAGE)後のゲル中のタンパク質を銀で染色する試薬です。 CBB(Coomassie Brilliant Blue)染色と比べ、高感度な染色が可能です。
染色および脱色時間に依存しますが、およそ数ngレベルのタンパク質を検出できます。

原理

銀イオンとタンパク質の結合は、タンパク質を構成しているスルフヒドリル基(-SH),アミノ基(-NH2)、水酸基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)などと選択的に結合すると考えられており、中でもスルフヒドリル基(-SH)の反応が優先的に起こるといわれています。
これは、タンパク質のコンフォメーションを酸などで変性することで、スルフヒドリル結合がむき出しになった結果、スルフヒドリル基として存在して他の基より銀イオンと反応しやすくなることによります。よって、試薬中でアンモニウムイオンと錯体を形成している銀イオンは、アンモニウムイオンとタンパク質中のスルフヒドリル基の置換を介して、タンパク質と結合します。

銀染色Ⅱキットワコー

一般的な銀染色キットで、約70分でタンパク質バンドを染色できます。停止液も同梱されており、好みの濃さに染色具合を加減することできます。

ゲル:スーパーセップ™ エース 12.5%, 12ウェル
サンプル:大腸菌粗抽出物

キット構成

各100 mL x 1本

  • 固定原液(メタノール、酢酸)
  • 増感原液(ジチオスレイトール、グルタルアルデヒド)
  • 染色液A(硝酸銀)
  • 染色液B(アンモニア、水酸化ナトリウム)
  • 現像原液(ホルムアルデヒド、くえん酸)
  • 停止液(くえん酸)

銀染色MSキット

質量分析に最適化した銀染色キットです。従来の銀染色キットでは、増感剤に含まれるグルタルアルデヒドがアミノ基を架橋することにより、ゲル内消化の効率が悪く、質量分析に不向きでした。本製品では、グルタルアルデヒドを使用していないので、質量分析に有効です。また、感度も高感度化し、分析以外のSDS-PAGEの染色にも有用です。バンドの切り出し後に使用する脱色液も付属しています。

キット構成

  • 増感原液・・・200 mL x 1
  • 染色原液・・・200 mL x 1
  • 現像原液・・・100 mL x 1
  • 現像粉末・・・20 g x 1
  • 停止液 ・・・200 mL x 1
  • 脱色液A ・・・50 mL x 1
  • 脱色液B ・・・50 mL x 1

応用例

Rabbit PhosphorylaseをSDS-PAGEし、銀染色MSキットで染色しました。染色後、バンドを切り出しトリプシンでゲル内消化後、MALDI-TOF/MSで測定しました。

データ提供:大阪府立母子医療センター 和田芳直先生

キット比較表

操作手順 組成 銀染色キット
MS
グルタルアルデヒド 不含
(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動後のゲル

1.固定-1

2.固定-2

3.水洗

4.増感

5.水洗

6.銀染色

7.水洗

8.現像

9.現像停止

10.水洗

総時間

固定液-1

固定液-2

(脱イオン水)

増感液

(脱イオン水)

染色液

(脱イオン水)

現像液

停止液

(イオン水)

10分※1

10分



10分

5分

15分

2~5分 x 3回

5分

2~3分

2分 x 3回

約70分

20分※1

10分※1

10分

1分

1分 x 2回

20分

1分 x 2回

3~10分

1分

1分 x 3回

約70分
ゲルの切り出し ※2
11.脱色

ゲル内消化※3

質量分析
15分
  • 1:構成試薬には含みませんので、自調製してください。
  • 2:褐色部分を切り出します。
  • 3:プロテオーム研究用ゲル内消化酵素として、以下の試薬を販売しております。
     製品コード:125-05061 リシルエンドペプチダーゼ, 質量分析グレード 20 μg x 5
     製品コード:202-15951 トリプシン, ブタ膵臓由来, 質量分析グレード 20 μg x 5

製品一覧

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関連製品一覧

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プロテオーム研究用ゲル内消化酵素

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