N型糖鎖の機能解析、MS解析のサンプル前処理に

Genovis社 N型糖鎖の切断・分離用スピンカラム「PNGase F Immobilized Microspin」、酵素「PNGase F」

製品画像

Genovis社は、抗体医薬研究用のバイオ医薬プロセス酵素SmartEnzymes™を開発・製造しているスウェーデン(ルンド)のメーカーで、モノクローナル抗体、ADCs(antibody drug conjugates)、Fc融合タンパク質、バイオシミラー等のバイオ医薬品の研究開発に使用できるユニークな酵素(プロテアーゼ、グリコシラーゼ)、試薬キットをラインアップしています。

PNGase FはN型糖鎖切断酵素であるPeptide N-Glycosidase Fです。抗体や融合タンパク質、その他N-グリコシル化タンパク質上のN型糖鎖を切断することで、タンパク質の不均一性を低減し、切り離されたN型糖鎖の分析が可能です。
PNGase F Immobilized MicrospinはPeptide N-Glycosidase Fをアガロースビーズに共有結合させたスピンカラム製品です。スピンカラム1本で0.2mgの糖タンパク質を処理できます。
PNGase F Immobilized Denaturing Microspinにはさらに変性剤RapiGest™ SF*が添付されています。ペプチドを修飾したり、プロテアーゼ活性を抑制したりすることなく、タンパク質の酵素による切断を受けやすくします。
* RapiGest™ SFはWaters Corporationの商標です。

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特長

  • 短時間でN型糖鎖の脱グリコシル化が可能
    (中性条件下:1h~、変性条件下:15min~)
  • 200ugの糖タンパク質をスピンカラムで簡便に処理
  • MS解析時に酵素由来のピークが現れない

サンプルに残存するPNGase F Lyophilizedの検証

PNGase F Immobilized Microspin(ネイティブ条件)または溶液中のPNGase F Lyophilizedで処理した場合について(いずれも37℃、1時間インキュベート)、サンプルに残存するPNGase F Lyophilizedについて検証しました。
PNGase F Immobilized MicrospinまたはPNGase F LyophilizedでIgGを脱グリコシル化ののち、IgGプロテアーゼFabRICATORで消化し、還元したサンプルを逆走LC-MSで分析しました。 溶液中のPNGase F Lyophilizedで処理した場合と異なり、PNGase F Immobilized Microspinで処理した場合はPNGase F Lyophilizedが固相化されているため、サンプル中にPNGase F Lyophilizedが存在しないことが確認できました。

上図:PNGase Fで処理されたIgGのFc/2フラグメントのTICクロマトグラム
下図:PNGase Fで処理されたIgGのFc/2フラグメントの質量スペクトル

PNGase F Immobilized Denaturing Microspinを用いたN型糖鎖の迅速な切断

グリコシル化部位によってはPNGaseFが反応しにくく、脱グリコシル化反応が遅くなる、または立体障害による阻害が起こります。変性条件下での反応速度の検証のため、PNGase F Immobilized Microspin (ネイティブ条件)およびPNGase F Immobilized Denaturing Microspin (変性条件)を用いて糖タンパク質を処理し、MS解析を行いました。
ネイティブ条件では添加剤や温度を上げることなくN型糖鎖を除去することができましたが、完全な脱グリコシル化には18時間のインキュベーションが必要でした。一方、変性条件では30分でN型糖鎖の除去が可能でした。
MSスペクトルより、O型糖鎖はそのままにすべてのN型糖鎖を除去できたことがわかります。 インタクトなタンパク質の分析は複雑ですが、PNGase F Immobilized Microspin での処理後、サンプルの複雑さを大幅に低減することができました。

製品一覧

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PNGase F Immobilized Microspin

PNGase F Immobilized Denaturing Microspin

PNGase F Lyophilized

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