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ウエスタンブロッティングで失敗する原因は何?よくある問題と解決策をご紹介

ウエスタンブロッティングの実験失敗の原因は?

ウエスタンブロッティングの実験失敗の原因

「ウエスタンブロッティングの失敗の原因がわからない」
「解決策が知りたい!」
という方に、ウエスタンブロッティングでよく起こる失敗例を挙げ、その原因や解決策について解説します。

ウエスタンブロッティングは、ライフサイエンス分野の基礎的な実験手法ですが、、失敗の原因として、タンパク質量や抗体、ゲル、メンブレン、検出反応など、多くのことが考えられ、初心者のうちは何が原因かがわからないことも多いかと思います。

本記事では、ウエスタンブロッティングの転写や抗体反応、検出等の過程でよくある問題とその解決策をご紹介します。 以下の失敗例の中で、ご自身に当てはまるものがありましたら、ぜひ参考にしてみてください。

ウエスタンブロッティングのよくある失敗例

ウエスタンブロッティングの失敗例としては、下記のことが挙げられます。

それぞれの原因とその解決策を以下にご紹介します。

バックグラウンドが高すぎる

失敗例:バックグラウンドが高い
原因 解決策
洗浄が不十分
  • 洗浄回数を増やす
  • 洗浄バッファーの量を増やす
  • 洗浄時間を延長する
  • Tween® 20 (*)濃度を検討する
非特異的な結合をブロッキングできていない
  • ブロッキング温度や時間を見直す。室温では1時間、4℃では一晩ブロッキングする
  • Tween® 20 (*)を添加する
  • Tween® 20 (*)添加済のブロッキングバッファー(TBS-TPBS-T)を使用する
  • 高感度な発光試薬「イムノスター® シリーズ」を使用する
メンブレンの取り扱いが適切でない
  • メンブレンに必要な前処理を行う
  • きれいなピンセットとグローブを使用し、メンブレンを傷つけないよう注意する
  • インキュベーションの際は、振とうする
  • 低バックグラウンドで目的タンパク質を高感度検出できるメンブレン「クリアトランス® シリーズ」を使用する
装置や器具等の汚れによるコンタミネーション
  • 転写装置、泳動槽等の器具をよく洗浄し、操作中はグローブを着用する
化学発光シグナルが強い
  • 検出時の露光時間を短くする
  • 検出試薬の反応時間を短くする
  • 検出試薬の濃度を下げる
(*) ICI Americans社の登録商標

スマイリングや歪みが見られる

失敗例:スマイリングが起きている
原因 解決策
高電圧により発生する熱
  • 出力値を下げて泳動する
塩濃度が異なる
  • 塩濃度が高いほど、移動速度が速くなるため、サンプルの塩濃度をそろえる
アプライ量が異なる
  • ウェルのアプライ量をそろえる
空のウェルがある
  • 同じ塩濃度かつ同液量のサンプル、もしくはサンプルバッファーのみをアプライする

スメアが見られる

失敗例:スメアが認められる
原因 解決策
試料溶液中の変性剤や界面活性剤の影響
  • 試料の抽出や調製過程を確認する
試料が古い、保存方法が適切でないことにより、タンパク質が分解
  • 試料の作製時期、保存方法を確認する
転写時間が短すぎる
  • すべてのレーンで同様の現象が起きていれば、転写時間が短い可能性が高いため、転写時間を長くする
タンパク質量が過剰
  • アプライ量や濃度を調整する

転写にムラがある

失敗例:転写にムラがある
原因 解決策
ゲルとメンブレンの間に気泡が入っている
  • ローラーなどで確実に気泡を取り除く
転写装置の問題
  • セミドライ式の場合、繰り返しの使用により転写板が反ることがあるため、転写装置のメーカーに修理を依頼する、もしくは新しい転写装置に変える
転写方法の問題
  • セミドライ式の場合は転写ムラが起こりやすいため、タンク式に変更してみる

その他の失敗例の原因、解決法

その他の失敗の原因、解決法については、下記のことが挙げられます。

それぞれの原因とその解決策を以下にご紹介します。

バンドがぼやける、不鮮明

バンドがぼやける、不鮮明
原因 解決策
タンパク質量が過剰
  • 泳動するタンパク質量を下げる
抗体濃度が高い
  • 一次抗体、二次抗体の濃度を下げる
検出シグナルが高い
  • 露光時間を短くする
  • 検出試薬の反応時間を短し、反応後に可能な限り除去する
  • 二次抗体の濃度を下げる

バンドが白抜けする

バンドが白抜けする
原因 解決策
タンパク質量が多い
  • タンパク質量を減らす
抗体の濃度が高い
  • 一次抗体、二次抗体の濃度を下げる

シグナルが弱い、検出されない

シグナルが弱い、検出されない
原因 解決策
抗体の失活
  • 抗体の保存状態、期間を確認する
  • 抗体反応をやり直す場合は、10分間で抗体を除去できる「ストリッピング溶液」がおすすめ
抗体の結合力が不十分
アジ化ナトリウムにより酵素反応が阻害されている
  • アジ化ナトリウムはHRPの活性を阻害するため、抗体にアジ化ナトリウムが含まれる場合は、抗体を希釈してアジ化ナトリウム濃度を低くする、あるいはアジ化ナトリウムを含まない抗体を用いる
  • HRP標識一次抗体を使用する、かつブロッキング剤にアジ化ナトリウムが含まれる場合は、ブロッキング後にTBS-Tで洗浄した後に抗体反応を行う
露光時間が短い
  • 露光時間を長くする
ブロッキング時間が不適切
  • ブロッキング時間が長すぎる場合、ブロッキング液が抗原をマスクすることにより抗体反応性が低下するため、適切かどうかを確認する
転写効率が悪い、転写されていない
検出試薬の化学発光が弱い

バックグラウンドに斑点やシミが見られる

バックグラウンドに斑点やシミが見られる
原因 解決策
ピンセットが汚れている
  • ピンセットの汚れがメンブレンに付着することでバックグラウンドの原因になることがある。エタノールで消毒した清潔なピンセットでメンブレンの端をつまむようにする
洗浄が不十分
  • 洗浄回数と洗浄バッファーの量を増やす
抗体反応が不適切
  • 抗体反応液の量を増やし、振とうしながら反応させる
検出装置が汚れている
  • 検出前に、メンブレンを置くサンプル台をエタノールで拭き、汚れを除去する

ポンソー染色で染まらない

ポンソー染色 染まらない
原因 解決策
タンパク質が転写されていない
  • 転写装置の設定を確認する
  • メンブレンとゲルが正しく接触しているかを確認する
タンパク質量が少ない
  • タンパク質のアプライ量を増やす
染色試薬の劣化

実験におすすめの製品・サービス

ウエスタンブロッティング試薬

ウエスタンブロッティング試薬

ウエスタンブロッティングに欠かせない製品をラインアップしています。

  • 抗原抗体反応促進試薬 Immuno-enhancer
  • 転写バッファー
  • ストリッピング溶液
  • ブロッティング用メンブレン
  • ローディングコントロール抗体
  • ペルオキシダーゼ発光基質

ウエスタンブロット解析サービス

ウエスタンブロット解析サービス

お預りしたサンプルを用いて電気泳動、ウエスタンブロット、検出までを代行するサービスをご提供しています。

特長
  • ゲルサイズはミニゲル(9 x 8 cm)
  • 二次元電気泳動、SDS-PAGEのいずれにも対応
  • SDS-PAGEの場合、1枚のゲルに最大12 個のサンプルをロード可能
  • 検出は発色法または発光法で行う
  • 総タンパク質を検出する泳動との並行作業も可能(別料金)
  • 条件を変更して数度にわたり試験し、最適な条件を検討

イムノリアクター

ウエスタン自動化装置

ブロッキング、洗浄、抗体反応を自動で行う自動化装置です。溶液交換、メンブレンの洗浄にかかる手間を削減できます。普段使用している試薬をそのまま使用でき、装置操作はプログラムの選択と振盪スピードの設定だけと非常に簡単です。手作業と同等の結果を得られ、再現性も高いです。

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