siyaku blog

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Wako Organic Chemical News

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.11「ATRPとRAFT重合」

1926年にドイツのHermann Staudingerによって高分子の概念が提唱されて以来、その研究は大きく進展し、化学の重要な一分野を成してきた。その成果はプラスチックや合成繊維などとして、我々の日常生活にも大きな影響を与えている。高分子化学は、人類に最も貢献した科学分野の一つと言ってもよいだろう。 高分子を合成する方法を化学反応の面から分類してみると、アニオン重合・カチオン重合・ラジカル重合...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.10「Bredereck試薬の活用」

オレフィンメタセシスや、C-H結合活性化反応など、遷移金属触媒を活用した炭素-炭素結合生成反応の進展は目覚ましく、有機合成の世界を大きく変えつつある。しかし一方で、カルボニル基の化学を中心とした、いわば「古典的な」反応も、価値を失ったわけではもちろんない。扱いやすさ、廃棄物処理の簡便さなどのメリットを考えれば、改めて光を当てるべき反応や試薬も多数ある。1968年にH. Bredereckらが報告し...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.09「フッ素化剤」

近年、フッ素の導入反応は、合成反応研究における大きなトレンドとなっている。それというのも、含フッ素化合物の可能性に大きな注目が集まっているからであろう。フッ素は原子半径が水素に次いで小さく、かつ全元素中最大の電気陰性度を示す。このため、水素の代わりに化合物に導入すれば、分子のサイズはほとんど変わりないまま、電子的性質を大きく変えることができる。

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.08「フィンケルシュタイン反応とその関連反応」

筆者はかつて、製薬企業の研究所に勤務していた。医薬候補化合物の最適化段階においては、主骨格に多数の置換基を導入し、最も活性の高いものを探索する検討が行われる。このため、多数のアルキル化剤を用意しなければならなかった。この工程で多用したのが、塩化アルキルに対してヨウ化ナトリウムを作用させ、ヨウ化アルキルへ変換する、ハロゲン交換反応であった。溶媒としてはアセトンまたはメチルエチルケトン(MEK)、N,...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.07「ペプチド合成における酸塩化物の活用」

望みの配列を持ったペプチドを合成する技術の重要性は、今さらくだくだしく述べるまでもないだろう。実のところ、ペプチドはアミノ酸が一列につながっただけの単純な化合物でありながら、その合成は奥が深い。この分野の祖というべきエミール・フィッシャーが、初めてペプチドを合成したのは20世紀初頭のことであるが、より優れた方法を求めて、なおも研究は続いている。長い間に様々な合成技法が開発されてきたが、以下の基本的...

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