【連載】ミクログリア研究の最前線−基礎から臨床へ− 「第4回 ミクログリア・マクロファージによる脳梗塞後の炎症と修復の制御メカニズム」
本記事は、和光純薬時報 Vol.89 No.2(2021年4月号)において、東京都医学総合研究所 脳卒中ルネサンスプロジェクト、慶應義塾大学薬学部生化学講座 大谷 健人様、東京都医学総合研究所 脳卒中ルネサンスプロジェクト、日本医療研究開発機構 七田 崇様に執筆いただいたものです。
脳梗塞は本邦における脳卒中の約8割を占め、寝たきりや死亡の主な原因である。脳梗塞では、脳血流が低下することによって脳組織への酸素や栄養の補給が不足し、脳組織が虚血壊死(梗塞)に至る。脳虚血では様々な細胞ストレスが惹起されるが、炎症はそのようなストレスのひとつである。脳虚血後の炎症においては、脳組織に常在するマクロファージであるミクログリアや、血液脳関門の破綻に伴って脳組織に浸潤したマクロファージが...