【連載】ミクログリア研究の最前線−基礎から臨床へ− 「第1回 神経障害性疼痛」
本記事は、和光純薬時報 Vol.88 No.3(2020年7月号)において、九州大学大学院薬学研究院 ライフイノベーション分野 津田 誠様に執筆いただいたものです。
生体に有害な刺激が加わった場合、私たちは痛覚システムを利用し、痛みを発生させ、それに対し適切な防御的行動をとる。しかし、末期癌や糖尿病、脳梗塞、脊髄損傷、帯状疱疹治癒後などで神経系に損傷や圧迫、機能不全が起こると、神経障害性疼痛と呼ばれる慢性的な痛みとなってしまう。症状として、自発痛や疼痛過敏、そして触刺激など通常は痛みが起こらないような刺激で痛みが起こるアロディニア(異痛症)が知られている。