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- 研究の最前線、テクニカルレポート、実験のコツなどを幅広く紹介します。 -

合成・材料

合成・材料 特別講座

【特別講座】ヒドロキシ基含有ホスフィン配位子を用いる位置選択的クロスカップリング

本記事は、OrganicSquare Vol.51 (2015年3月号)において、静岡県立大学薬学部 眞鍋 敬先生、山口 深雪先生に執筆いただいたものです。

クロスカップリングは有機合成化学において重要な反応の一つであり、これまでに医薬品や機能性材料を始めとする様々な化合物の合成に広く利用されている。その有用性は十分に確立しており、とりわけ分子内に複数個のハロゲンをもつ化合物を原料とし、目的とする位置のみで反応を進行させる「位置選択的クロスカップリング」は複雑な構造を有する化合物合成の重要な手段であることから多くの研究がなされてきた1-3)。 位置選択...

合成・材料 テクニカルレポート

【テクニカルレポート】地球環境にやさしいフルオロメチル化剤

本記事は、和光純薬時報 Vol.83 No.1(2015年1月号)において、和光純薬工業 試薬化成品研究所 三宅 寛が執筆したものです。

アレルギー性鼻炎や気管支喘息の治療薬として知られるプロピオン酸フルチカゾン(図 1)に見られるように、フルオロメチル基は医薬品・農薬・機能性材料で重要な位置を占める。しかしながら、従来フルオロメチル化剤として使われたブロモフルオロメタン(BrCH2F)やクロロフルオロメタン(ClCH2F)1)は、オゾン層破壊物質(ODS, ozone depleting substances)に指定されており、そ...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.04「MPV還元とOppenauer酸化」

アルデヒドやケトンからアルコールへの還元、及びその逆反応である酸化反応は、有機合成化学において最も頻出する官能基変換である。このため、古くから多くの手法が研究されてきたが、いまだ全てにわたって完璧という反応はない。たとえば、よく用いられるアルミニウム系還元剤は、水分と反応して発火するなど取り扱いが難しい。また酸化剤の方も、毒性、爆発性、悪臭、操作の煩雑さなど、それぞれ問題を残す。このため、酸化還元...

合成・材料 特別講座

【特別講座】貴金属粉末触媒へのいざない

本記事は、OrganicSquare Vol.50(2014年12月号)において、エヌ・イー ケムキャット株式会社 髙木 由紀夫 様に執筆いただいたものです。

触媒とは特定の化学反応の反応速度を速める物質1)で、自身は反応の前後で変化しないものをいうが、実際の触媒は正確な定義通りにはいかず劣化や成分の溶出などを伴う。貴金属触媒は活性成分が「貴」であるため変化しにくく、比較的定義に近い触媒といえる。

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.03「スマートドラッグ」

あまり品のよくない言葉で恐縮だが、「バカにつける薬はない」という言い回しがある。身体の病や傷を治すことはできるが、頭脳の働きをよくする薬だけはありえない、という意味だ。ところがこの言葉は、どうやら死語になろうとしている。頭をよくする薬、すなわち「スマートドラッグ」が開発され、一般にも普及しつつあるからだ。 加齢によって脳の認知機能が低下する、いわゆるアルツハイマー型認知症の治療薬は、現在最も社会的...

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