siyaku blog

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合成・材料

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.06「イオン液体」

イオン性化合物といえば、塩化ナトリウムに代表されるように、陽イオンと陰イオンが規則正しく積み重なった結晶性の固体となるのが一般的だ。しかしこの常識に反し、液体として存在するイオン性化合物も存在する。このように、常温付近(一般に100℃以下)で液体となるイオン性化合物を「イオン液体」と呼んでおり、近年注目を集めている1)。 イオン液体の発見は1914年にさかのぼるが、長らくその可能性が省みられること...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.05「Trost酸化」

アルコールから、アルデヒドまたはケトンへの酸化は、有機合成において最も頻出する反応のひとつであり、古くから様々な方法が工夫されてきた。かつてはこの目的に、クロム酸塩類がよく用いられていたが、毒性や環境負荷など多くの問題があった。しかし近年では改良が進み、安全性・操作性・選択性が改善された反応がいくつも報告されている。化学者はそれらの特徴をよく知り、状況に応じて使い分けなければならない。中でもSwe...

合成・材料 特別講座

【特別講座】ヒドロキシ基含有ホスフィン配位子を用いる位置選択的クロスカップリング

本記事は、OrganicSquare Vol.51 (2015年3月号)において、静岡県立大学薬学部 眞鍋 敬先生、山口 深雪先生に執筆いただいたものです。

クロスカップリングは有機合成化学において重要な反応の一つであり、これまでに医薬品や機能性材料を始めとする様々な化合物の合成に広く利用されている。その有用性は十分に確立しており、とりわけ分子内に複数個のハロゲンをもつ化合物を原料とし、目的とする位置のみで反応を進行させる「位置選択的クロスカップリング」は複雑な構造を有する化合物合成の重要な手段であることから多くの研究がなされてきた1-3)。 位置選択...

合成・材料 テクニカルレポート

【テクニカルレポート】地球環境にやさしいフルオロメチル化剤

本記事は、和光純薬時報 Vol.83 No.1(2015年1月号)において、和光純薬工業 試薬化成品研究所 三宅 寛が執筆したものです。

アレルギー性鼻炎や気管支喘息の治療薬として知られるプロピオン酸フルチカゾン(図 1)に見られるように、フルオロメチル基は医薬品・農薬・機能性材料で重要な位置を占める。しかしながら、従来フルオロメチル化剤として使われたブロモフルオロメタン(BrCH2F)やクロロフルオロメタン(ClCH2F)1)は、オゾン層破壊物質(ODS, ozone depleting substances)に指定されており、そ...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.04「MPV還元とOppenauer酸化」

アルデヒドやケトンからアルコールへの還元、及びその逆反応である酸化反応は、有機合成化学において最も頻出する官能基変換である。このため、古くから多くの手法が研究されてきたが、いまだ全てにわたって完璧という反応はない。たとえば、よく用いられるアルミニウム系還元剤は、水分と反応して発火するなど取り扱いが難しい。また酸化剤の方も、毒性、爆発性、悪臭、操作の煩雑さなど、それぞれ問題を残す。このため、酸化還元...

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