【総説】低分子系半導体−p型
本記事は、東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 工学部応用化学科 岡本 敏宏准教授に執筆いただいたものです。
20世紀中頃、有機化合物が電気を流す半導体的な性質を示すことは知られていた。しかしながら、電流はほとんど流れず、安定性が悪かったため、電気が全く流れない絶縁体としての認識が持たれていた。
1984年にKudoらの研究グループ1)によって、merocyanine dye (メロシアニン色素, 図1参照)の低分子系半導体を活性層に用いた有機電界効果トランジスタ(OFET)において、10-7から10-5...