【連載】幹細胞EV ~治療、診断、化粧品への展開~「第1 回 肝硬変症に対する間葉系幹細胞由来の細胞外小胞(エクソソーム)を用いた治療法の開発を目指して」
本記事は、和光純薬時報 Vol.90 No.3(2022年7月号)において、新潟大学大学院 医歯学総合研究科 消化器内科学分野 寺井 崇二様、土屋 淳紀様に執筆いただいたものです。
肝硬変症はウイルス性のB型肝炎、C型肝炎、アルコール多飲、肥満による非アルコール性脂肪肝炎により慢性炎症の結果に生じる肝線維化が進行した病態である。肝硬変は、代償性肝硬変と、黄疸、腹水、肝性脳症などの重篤な症状が出現する非代償性肝硬変に分けられる。肝臓は再生能力が高い臓器として知られており、その再生能力は肝硬変が進行する程、低下する。我々は、肝硬変の患者の持つ再生能力をいかに導きだし、肝硬変患者の...