【総説】炎症時におけるミクログリアのダイナミクス
本記事は、和光純薬時報 Vol.91 No.4(2023年10月号)において、京都工芸繊維大学 応用生物学系 宮田 清司様に執筆いただいたものです。
グリア細胞の一種であるミクログリアは、中枢神経系に存在する常在性マクロファージで、齧歯類の脳では細胞の5〜12%の比率で存在しています。ミクログリアは、感染や損傷による炎症時に活性化されることから、中枢神経系の免疫担当細胞と言われています。しかし、最近の研究では、ミクログリアは正常条件下でも細胞質突起により周囲の微小環境を感知し中枢神経系の機能と恒常性を制御していることが明らかになっています。