【特別講座】オレフィンメタセシス触媒の最近の進歩
本記事は、OrganicSquare Vol.41 (2012年9月号)において、サイエンスライター 佐藤 健太郎 様に執筆いただいたものです。
長い化学の歴史の中で、有機合成を根底から変えた反応のひとつとして、オレフィンメタセシス反応を挙げることに異論のある者はないであろう[1]。最も安定な結合である炭素-炭素二重結合が切れて組み替わる、他にほとんど類例がないユニークな反応である。オレフィンメタセシスの歴史は意外に古く、その発見は 1960 年代にまで遡ることができる。特異な反応形式は多くの化学者の興味を惹き、早い時期からメカニズムの解明...