【総説】高分子系半導体−p型
本記事は、東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 工学部応用化学科 岡本 敏宏准教授に執筆いただいたものです。
高分子半導体材料を用いた研究は、1990年代後半に報告されたpoly(3-alkylthiophene)(ポリ(3-アルキルチオフェン), P3RT)(図1a)が有機電解効果トランジスタ(OFET)で0.1 cm2/Vsの正孔移動度を示したところからスタートしている。X線を用いた構造解析の結果、P3RTは高分子鎖が基板に対して立ったラメラ構造(Edge-on配向)を形成し、基板に対して電荷輸送にか...