【総説】脳内の愛情・幸せの素 オキシトシンをとらえる
本記事は、和光純薬時報 Vol.91 No.2(2023年4月号)において、大阪大学医学系研究科 稲生 大輔様に執筆いただいたものです。
オキシトシンは「愛情ホルモン」や「幸せホルモン」とよばれる脳内で産生される情報伝達分子です。発見当初は、メス個体の出産や授乳時に血中に分泌される末梢ホルモンとしてとらえられていましたが、後に脳内でも直接作用し多様な生体機能を制御することも明らかになってきました。その二つ名が示す通り、育児・絆・社会的行動と強く関わるほか、食欲や代謝の制御、ストレス軽減など、幅広い機能を持つことが知られています。最近...