【総説】自閉スペクトラム症研究におけるポリジェニック・リスク・スコアの利用
本記事は、和光純薬時報 Vol.91 No.3(2023年7月号)において、浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター1)、大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学 連合小児発達学研究科2) 土屋 賢治様1),2)に執筆いただいたものです。
米国精神医学会の診断基準DSM-5において、自閉スペクトラム症(Autism spectrum disorder、以下ASD)は、神経発達症群の一つとして分類されている。ASDの診断に利用できる生物学的指標はなく、症状または行動をたよりに診断する。診断の根拠として「社会相互性と意思伝達の障害」および「狭い興味や反復的な行動様式」という2つの症状群が知られている。