【クロマトQ&A】:固相抽出用カラムPresepの充てん剤の種類と用途について教えて下さい
本記事は、Analytical Circle No.44(2007年3月号)に掲載されたものです。
プレセップ®には様々な充てん剤がありますが、その用途の違いについて教えてください。
充てん剤は、試料や対象化合物の性質の違いにより使い分けます。
C18、シリカゲル
固相抽出カラム用途に性能を発揮できるよう設計したシリカゲル基材を使用しております。ロット間の再現性向上に注力し、品質にできる限りバラツキが出ないことが特長です。最も汎用性の高い充てん剤で、医薬品・食品・環境等あらゆる分野でご活用いただけます。また、フラッシュクロマトグラフ用カラムとして Presep®シリカゲルタイプシリーズもご用意いたしております。
アルミナ、フロリジル
吸着による分離を利用した充てん剤です。食品中の色素や脂質を取り除き、残留農薬分析時のクリーンアップに適しております。また、有機塩素系農薬に対して効果的です。
無水ぼう硝
分析時の脱水前処理だけでなく、有機合成品の脱水にもご使用いただけます。
けいそう土
顆粒状けいそう土を充てんしたカラムで、水系試料を保持させた後、有機溶媒を流すことで、けいそう土の表面上で液-液抽出が行われます。カラム内での処理のため、分液ロートや試験管を用いた場合に比べ、効率の良い液-液抽出が可能です。
イオン交換
ポリマー系イオン交換樹脂(カチオン系、アニオン系)を充てんしており、緩衝液での耐性や試料の回収などに大変優れた特性を示します。環境分析・食品分析・生体試料分析・薬物分析など様々な用途に用いられます。
RPP
充てん剤にポリマーを使用していることから、シリカ系充てん剤と比較して、極性化合物の保持が大きく、塩基性化合物の相互作用による吸着が少ないという利点をもっております。また、優れた回収率、再現性のほか、幅広いpHで使用可能です。
Agri
親水性ポリマーゲルを吸着素材に用いており、残留農薬の迅速かつ簡便な前処理が可能です。
DNPH
米国EPAで指定されている大気環境中のカルボニル化合物の捕集ならびに2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)による誘導体化を行う専用捕集管。カートリッジ由来のブランクが低い、カラム間差が少なく、高い測定精度と再現性が特長です。
オゾンスクラバー
アルデヒドの捕集及びDNPH誘導体化を妨害するオゾンの除去に使用。また、Presep-C DNPHと接続して使用が可能です。
ポリアミド
ポリアミド樹脂を充てんしており、葛根湯中のペオニフロリンなどの分析に用います。
脱水
内部カラムと外装の組み合わせによる、二重構造の前処理カラムです。内筒側面へ縦長スリットを入れ、疎水性メンブランフィルターを取り付けています。酢酸エチルのような比重の軽い溶媒と水とを分離することが可能です。
多層シリカゲル、活性炭混合シリカゲル、活性炭埋蔵シリカゲル、活性アルミナDX
JIS K0311 (排ガス中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの測定方法)、JIS K0312 (工業用水・工場排水中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの測定方法)に準じた設計、ダイオキシン類分析適合性試験の実施などから、ダイオキシン類分析の際、試料のクリーンアップに安心してご使用いただけます。
分離モード | 充てん剤 | Presep | 用途、特性 |
---|---|---|---|
逆相分配 | C18結合シリカゲル | C18 | 低極性物質の前処理。医薬品・食品・環境等で汎用性が高い。 |
吸着 | 破砕状シリカゲル | シリカゲル | 中極性物質の前処理。医薬品・食品・環境等で汎用性が高い。 |
シリカゲルタイプシリーズ | フラッシュクロマト用前処理カラム。極性物質の少量分取に適用可能。 | ||
塩基性アルミナ | アルミナ | 極性物質に適用。 | |
無水ボウショウ | 無水ぼう硝(Na2SO4) | 試料の脱水が可能。 | |
MgO3Si | フロリジル | 農薬分析前処理、色素・脂質除去。 | |
顆粒状けいそう土 | けいそう土、顆粒状 | 水系試料をけいそう土カラムに保持させた後、有機溶媒を流すことで、けいそう土の表面上で液-液分配抽出が行われる。 | |
イオン交換 | ポリマー系弱塩基性 陰イオン交換 |
DEA | pH0~14の広範囲で使用可能。ジエチルアミノエチル Cl 型で強酸性物質を捕獲しやすい。 |
ポリマー系強塩基性 陰イオン交換 |
QA | pH0~14の広範囲で使用可能。トリメチルアミノエチル Cl 型で弱酸性物質を捕獲しやすい。 | |
ポリマー系弱酸性 陽イオン交換 |
CM | pH0~14の広範囲で使用可能。カルボキシメチルNa型で強塩基性物質を捕獲しやすい。 | |
ポリマー系強酸性 陽イオン交換 |
S | pH0~14の広範囲で使用可能。スルホニルプロピルNa型で弱塩基性物質を捕獲しやすい。 | |
専用用途 | スチレンジビニルベンゼン- ポリメタクリレート |
RPP | シリカ系充てん剤と比較して、極性化合物の保持が大きく、塩基性化合物の相互作用による吸着が少ないため、生体試料中の薬物分析、環境中試料など幅広い分野での適用が可能。 |
スチレンジビニルベンゼン- ポリメタクリレート系 |
Agri | 水系試料中微量疎水性成分(種々の残留農薬等)の濃縮、アシュラム、オキシン銅等の高極性金属配位性化合物の回収率が高い。 | |
破砕状シリカゲル(2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを含む) | DNPH | 大気環境中のカルボニル化合物の捕集ならびに2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)による誘導体化を行う専用捕集管。 | |
高純度よう化カリウム | オゾンスクラバー | アルデヒドの捕集およびDNPH誘導体化を妨害するオゾンを除去。 | |
ポリアミド樹脂 | ポリアミド | 葛根湯中ペオニフロリン等の前処理。 | |
その他のプレセップ | 疎水性テフロンメンブランフィルター | 脱水 | 非水溶性有機溶媒(酢酸エチル、ヘキサン、ジエチルエーテル)と水の分離に有効。 |
シリカゲル | 多層シリカゲル | ダイオキシン類分析用 | |
活性炭混合シリカゲル | 活性炭混合シリカゲル | ||
活性炭埋蔵シリカゲル | 活性炭埋蔵シリカゲル | ||
活性アルミナ | 活性アルミナDX |
プレセップは、両端密閉型カートリッジタイプの「プレセップ-Cタイプ」と、一端が開放型の「プレセップタイプ」の2種類をご用意いたしておりますので、用途に合わせて使い分けいただけます。