残留農薬分析用固相抽出カラム Presep® Agri
農薬分析用固相抽出カラムPresep®Agriシリーズは、スチレンジビニルベンゼン-メタクリレート樹脂を吸着素材に用いて残留農薬を迅速かつ簡便に前処理するための固相抽出カートリッジです。
製品には、カートリッジ形状により両端閉鎖型カートリッジのPresep®-C Agri(Short)とシリンジ型のPresep® Agriの2タイプをご用意しております。
前処理操作の加圧法、減圧法によって、使い分けが可能です。
特長
- 親水性を有する逆相系ポリマーゲルで、水中に存在する微量疎水性成分の濃縮に有効
- 高極性の農薬や金属配位性成分(アシュラム・オキシン銅)の様な回収されにくい農薬に対しても高い回収率
- 市販されている減圧濃縮装置による迅速処理や加圧式定流量ポンプによる回収・濃縮にも対応
- Wakopak® Wakosil® Agri-9 および専用溶離液と組み合わせることにより、公定法に沿って種々の農薬を迅速かつ簡便に定量が可能
水質中残留農薬の添加回収試験(LC/MS/MS分析)
-
Column:Presep®-C Agri (Short)
カラムコンディショニング
① CH3CN 10 mL
② CH3OH 10mL
③ H2O 10mL
↓
検水※1の通液:500 mL
↓
洗浄:H2O 5 mL
↓
溶出:CH3CN 2 mL※2
↓
濃縮:N2 気流下で濃縮(約 0.2 mL〜 0.3 mL)
↓
再溶解:H2Oで1 mLにメスアップ
↓
HPLC-UV 10 μL注入※1 検水500 mL:0.2 mol/L EDTA・2Na 10 mL添加 pH3.5←HNO3(1+10) 農薬標準品添加
※2 溶出液量:公定法は5 mL -
HPLC分析条件
Column : Wakopak® MS-Agri-9 GT(2.0 mm x 150 mm) Eluent : A)10 mM CH3COONH4(pH3.7)
B)CH3CN
0-10min B:12 %-70 %
10-13min B:100 %
13-23min B:12 %Flow Rate :0.2 mL/min. at 40 ℃ Injection Vol. :each 1 ppm、2 μL MS/MS分析条件
ESI,MRM
IonSpray Voltage: 5500V (pos) -4500V (neg) Temperature: 700 ℃ 300 ℃ Curtein Gas: 40 20 Collision Gas: 5 3 Ion Source Gas1: 80 40 Ion Source Gas2: 70 80 System: 3200Q TRAP(ABI)
各種農薬の保持時間、回収率
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posモード18成分
Sample Name Q1/Q3 RT(min) 回収率(%) Methomyl※1 163.1/88.1 amu 4.4 50.8(85.2) MPP oxon sulfoxide 279.0/104.2 amu 5.8 101.6 Tricyclazole 190.0/163.2 amu 6.9 99.1 MPP oxon sulfone 295.0/217.1 amu 7.2 99.7 Carbofuran
(Carbosulfan代謝物)222.1/165.2 amu 8.5 103.1 Thiodicarb 355.1/88.1 amu 8.6 99.6 MPP sulfoxide 294.9/109.0 amu 9.0 100.1 Thiuram 240.9/88.1 amu 9.5 94.3 Probenazole 224.0/130.2 amu 9.5 98.6 MPP oxon 263.0/231.1 amu 9.6 99.5 Bensulfuron-methyl 411.0/149.2 amu 10.0 100.7 Flazasulfuron 408.2/182.1 amu 10.1 98.6 MPP sulfone 310.9/124.9 amu 10.4 99.2 Siduron peak1※2 233.1/137.2 amu 10.4 99.7 Siduron peak2※2 - 10.6 98.3 Azoxystrobin 404.1/372.1 amu 10.8 99.6 Dymron 269.1/151.1 amu 11.1 99.6 MPP 279.0/169.0 amu 12.1 104.3 Carpropamid 336.0/139.2 amu 12.2 101.8 ※1 Methomyl( )内の回収率はPresep-Agri使用時
※2 Siduron:2peak検出灰色行:平成20年4月“別添方法18”一斉分析試験に追加成分
-
negモード10成分
Sample Name Q1/Q3 RT(min) 回収率(%) Asulam 228.9/196.7 amu 5.7 99.6 Bentazone 239.1/131.6 amu 6.8 99.3 2,4-PA 219.9/161.7 amu 7.5 99.1 Triclopyr 255.9/198.1 amu 8.0 101.2 MCPP(Mecoprop) 213.0/140.9 amu 8.8 99.9 Halosulfuron-methyl 433.6/252.2 amu 9.6 99.1 DCMU(Diuron) 232.0/186.9 amu 9.7 100.4 Iprodione 329.9/245.1 amu 11.4 98.9 Bensulide(SAP) 395.9/212.7 amu 12.3 96.7 Fipronil 436.8/330.1 amu 12.4 97.3 混合外成分3成分※3
Sample Name 回収率(%) Oxine-copper 96.2 Carbanyl(NAC) 101.0 MBC:Benomyl分解物 97.5 ※3 混合時の安定性に問題があり除外
※回収率はHPLC-UVによる測定値
PFOA・PFOSの添加回収試験(LC/MS/MS分析)
PFOA・PFOSの添加回収試験※1
固相抽出条件※2
サンプル
超純水 :PFOS・PFOA分析用
標準液 :PFOS・PFOA混合液 (PFOS:直鎖として78 μg/L, PFOA:100 μg/L)
内部標準液:13C-PFOS・13C-PFOA混合液 (PFOS:100 μg/L, PFOA : 100 μg/L)
カラムコンディショニング
① 0.1%NH3 in CH3OH 4 mL
② CH3OH 4 mL
③ H2O 4 mL
捕集/濃縮操作
水試料:水道水500 mL+内部標準液 (50 μL)[+標準添加サンプルは標準液 (100 μL)添加]
↓
Presep®-C Agriに通液:流速5 mL/min ※3
↓
洗浄:超純水5 mL
↓
乾燥:窒素ガスパージ
↓
溶出: 0.1%NH3 in CH3OH 5 mL (逆方向)
↓
濃縮:窒素ガスパージ (→0.5 mL)
↓
LC/MS/MS測定
LC/MS/MS条件
Column :Wakopak® Ultra C18-3 2.0 mm×150 mm
Eluent :A)10 mM CH3COONH4 in H2O
B)CH3CN
LC/MS/MS:Prominence LC-20ADXR / LCMS 8030 plus(島津製作所社製)
Gradient:
Time (min) | B conc. (%) |
---|---|
0-1 | 25 |
1-26 | 25-100 |
26-30 | 100 |
30-30.01 | 100-25 |
30.01-35 | 25 |
測定結果
クロマトグラム
回収結果
検出イオン | 回収率 | ||
---|---|---|---|
Precursor | Product | ||
PFOS | 498.8 | 80.0 | 100.9% |
PFOA | 412.9 | 169.1 | 95.0% |
※1 本データは分析例であり、製品を保証するものではありません。
※2 本法は2020年3月30日改訂の水質管理目標設定項目の検査方法を参考に条件を設定しています。
※3 幅広い炭素鎖のPFCs回収には「Presep® PFC-Ⅱ」(シリンジタイプ)をご活用ください。
水質中の残留農薬の添加回収試験(GC/MS分析)
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固相抽出条件
固相抽出カラム : Presep® -C Agri(Short) コンディショニング :ジクロロメタン5 mL、メタノール5 mL、蒸留水5 mL 検水 :蒸留水200 mLに標準液100 µL添加 固相への吸着 :流速10 mL/min.~20 mL/min.で検水をカラムへ通す 脱水 :10分間カラムに空気を通す 溶出と脱水 :Presep®-C Na2SO4 を2個、固相カラムの先に連結し、ジクロロメタン2.5 mLで溶出する。Presep®-C Agri(Short)をはずし、Na2SO4カラムをジクロロメタン6 mLで洗浄、溶出液と合わせる 濃縮 :ヘキサン2 mLを加え、N2気流下で約0.8 mLまで濃縮する(乾固してはならない) 分析サンプル :内部標準液100 μLを加え、ヘキサンで1 mLにメスアップ(分析まで冷蔵保存) 標準液 :10 μg/mLアセトン溶液 内部標準液 :アセナフテン、クリセン 2 μg/mL ヘキサン溶液(GC/MS分析中の感度変化補正のため添加) ※脱水用カラムPresep®-C Na2SO4は2個接続してジクロロメタン10 mL洗浄してから使用した。
GC 分析条件
GC : HP5890 PACKARD SERIESE GC/MS GC/MS : AUTO mass JMS-AM150型(JEOL) Column : 100 %ジメチルポリシロキサン,0.25 mm x 30 m, 膜厚0.25 μm Injector : 250 ℃ 昇温 : 60 ℃(2min) - 120 ℃(20 ℃/min) - 300 ℃(10 ℃/min) - 300 ℃(5min) 注入量 : 2.0 μL -
品名 回収率(%) etridiazole 92.3 chloroneb 91.8 pencycuron 90.8 benfluralin 82.3 simazine 101.5 propyzamide 95.8 TPN 95.8 diazinon 97.7 MBPMC 106.3 tolclofos-methyl 89.7 metalaxyl 100.7 MEP 97.3 dithiopyr 89.4 chlorpyrifos 88.9 captan 103.9 pendimethalin 85.7 methyldymron 84.6 isofenphos 91.3 isoprothiolane 96.6 butamifos 84.1 flutolanil 100.3 napropamide 99.7 isoxathion 91.8 triclopyr-2-butoxyethyl 94.1 mepronil 116.6 pyributicarb 93.5 iprodione 98.0 pyridaphenthion 106.5 DDVP(Dichlorvos) 108.9 BPMC 107.5 Thiobencarb 101.0 IBP 115.1 CNP 112.0 EPN 115.4
ビスフェノールAとノニルフェノールの分析1)
ビスフェノールAとノニルフェノールは環境ホルモン戦略による汚染の調査結果から、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、17-β-エストラジオールとともに検出率の高い化合物として位置付けられています。
固相抽出カートリッジカラムにPresep-C Agri (Short) 、分析用カラムにWakopakWS-Agri-9を用いることでビスフェノールAとノニルフェノールを迅速に分析することができます。
▼固相抽出条件
▼測定結果
回収結果
検出イオン | 回収率 |
---|---|
ビスフェノールA | 98% |
ノニルフェノール | 80% |
1)和光純薬時報 Vol.68 No.1(2000年1月号)
シマジン・チオベンカルブの分析前処理
ヘリウム代替ガス研究委員会が環境庁告示第59 号別表1 付表6 シマジン・チオベンカルブのガスクロマトグラフ質量分析法の改訂(2023年)の技術検討を実施した際にPresep® C- Agriを使用し、良好な結果が出ております。詳細データは技術参考書をご覧ください。
製品一覧
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固相抽出カラム
HPLCカラム
専用溶離液
GCカラム
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- 掲載されている製品について
- 【試薬】
- 試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
- 試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
- 【医薬品原料】
- 製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
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