【テクニカルレポート】高性能Presep® Silica Gel Type L の開発
本記事は、和光純薬時報 Vol.75 No.1(2007年1月号)において、和光純薬工業 試薬研究所 久保田 守が執筆したものです。
近年、医薬品分野における創薬部門及び農薬、化学品分野での研究開発期間の短縮に伴い、これを達成する目的でコンビナトリアルケミストリー(combinatorial chemistry)技術が導入されてきました。この技術は、コンビナトリアル合成を支援する各種の自動合成装置(ロボット合成)、自動精製装置、高効率スクリーニング装置(HTS装置)の開発により急速に発展してきました。
現行のPresep® Silica Gel Type Lは、ディスポーサブルタイプのシリンジ型カラムに破砕状シリカゲルを充てんしたフラッシュクロマトグラフ用カラムです。現行製品は自動合成装置などで合成された多種多様なリード化合物の精製に使用されていますが、精製装置の進歩に伴い更なる高性能化が求められるようになってきました。
高性能Type L の開発としてカラム構成部材の再設計、充てん剤の検討(破砕状及び球状シリカゲルの2タイプ)を進めております。以下にこれまでの検討内容をご紹介します。
カラムフィルターの検討
Presep® Silica Gel Type L 現行製品の構造概略を図1及び表1に示しました。カラム本体はポリプロピレン製、カラム先端のルアー側フィルターはガラスファイバー、シリンジ開口部側はポリエチレン製フィルターを装着しています。今回のカラム性能の向上に関する検討で、まずガラスファイバーを肉厚硬質タイプのポリエチレン製フィルターへ変更することでカラム先端のテーパー領域が確保され、カラムの通液性を飛躍的に改善することができました。高性能Type Lの構造概略も同じく図1、表1に示しました。
表1.
Presep® Silica Gel Type L | |||
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現行製品 | 高性能 Type L (破砕状) | 高性能 Type L (球状) | |
カラムサイズ | 27(内径) x 136(長さ*1) mm | ||
カラム容積 | 70 mL | ||
カラム材質 | PP*2 | ||
開口部側フィルター | HDPE*3 (気孔径20 µm、2 mm(厚さ)) |
HDPE*3 (気孔径20 µm、3 mm(厚さ)) |
HDPE*3 (気孔径20 µm、3 mm(厚さ)) |
ルアー側フィルター | ガラスファイバー | 同上 | 同上 |
充てん剤 | 破砕状シリカゲル | 破砕状シリカゲル | 球状シリカゲル |
充てん量 | 30 g | 30 g | 36 g |
粒子サイズ | 20 ~ 40 µm | 40 ~ 60 µm | 40 ~ 64 µm |
*1:ルアー部位を除く *2:ポリプロピレン *3:高密度ポリエチレン
充てん剤の検討
破砕状シリカゲルについて現行製品とは粒度分布が異なりますが、さらに厳しく微粉をカットした原料の採用、充てん方法にも改良を加えた結果、カラム理論段数が大幅にアップし、図2に示したように今まで以上にシャープなピークが得られるようになりました。また、新規に球状シリカゲル充てんカラムの検討も進めております。
カラムホルダー
Type L 専用カラムホルダーを装着した写真を図3に示しました。本品はカラム開口部側フィルター上面に密着するよう設計され、カラムIN 側のデッドボリュームをゼロにすることによりカラム性能をさらに引き上げる効果があります。
高性能Type L の特長を以下に記載しました。
高性能Type L の特長
- 高理論段数=高カラム効率
- シャープなピーク形状
- 通液性の向上=コンディショニングが早い
高性能Presep® Silica Gel Type Lは、現在、さらなる改良を行っております。商品としてみなさまにお届けできるようになりましたら、追って本誌で紹介させていただきます。