siyaku blog

- 研究の最前線、テクニカルレポート、実験のコツなどを幅広く紹介します。 -

Wako Organic Chemical News

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.06「イオン液体」

イオン性化合物といえば、塩化ナトリウムに代表されるように、陽イオンと陰イオンが規則正しく積み重なった結晶性の固体となるのが一般的だ。しかしこの常識に反し、液体として存在するイオン性化合物も存在する。このように、常温付近(一般に100℃以下)で液体となるイオン性化合物を「イオン液体」と呼んでおり、近年注目を集めている1)。 イオン液体の発見は1914年にさかのぼるが、長らくその可能性が省みられること...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.05「Trost酸化」

アルコールから、アルデヒドまたはケトンへの酸化は、有機合成において最も頻出する反応のひとつであり、古くから様々な方法が工夫されてきた。かつてはこの目的に、クロム酸塩類がよく用いられていたが、毒性や環境負荷など多くの問題があった。しかし近年では改良が進み、安全性・操作性・選択性が改善された反応がいくつも報告されている。化学者はそれらの特徴をよく知り、状況に応じて使い分けなければならない。中でもSwe...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.04「MPV還元とOppenauer酸化」

アルデヒドやケトンからアルコールへの還元、及びその逆反応である酸化反応は、有機合成化学において最も頻出する官能基変換である。このため、古くから多くの手法が研究されてきたが、いまだ全てにわたって完璧という反応はない。たとえば、よく用いられるアルミニウム系還元剤は、水分と反応して発火するなど取り扱いが難しい。また酸化剤の方も、毒性、爆発性、悪臭、操作の煩雑さなど、それぞれ問題を残す。このため、酸化還元...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.03「スマートドラッグ」

あまり品のよくない言葉で恐縮だが、「バカにつける薬はない」という言い回しがある。身体の病や傷を治すことはできるが、頭脳の働きをよくする薬だけはありえない、という意味だ。ところがこの言葉は、どうやら死語になろうとしている。頭をよくする薬、すなわち「スマートドラッグ」が開発され、一般にも普及しつつあるからだ。 加齢によって脳の認知機能が低下する、いわゆるアルツハイマー型認知症の治療薬は、現在最も社会的...

合成・材料 Wako Organic Chemical News 連載

【連載】Wako Organic Chemical News No.02「Grignard試薬」

Grignard試薬による、カルボニル化合物への求核的付加反応は、有機合成において最も汎用される反応の一つである。しかしGrignard試薬は塩基性が強いため、基質によってはα位プロトンの引き抜きによるエノール化が優先して進行し、付加体が得られないことがある。また基質の立体障害が大きい場合、ケトンが還元されることがあるなど、存外副反応も多く起こる。これらの副反応を抑制するため、塩化セリウム(III...

キーワード検索

月別アーカイブ

当サイトの文章・画像等の無断転載・複製等を禁止します。