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【クロマトQ&A】:アミノ酸分析法(1):PTC-アミノ酸分析システムと誘導体化法

本記事は、Analytical Circle No.72(2014年3月号)に掲載されたものです。

アミノ酸の組成分析を実施したいと思いますが、どんな分析法がありますか?汎用的なHPLC-UV検出器を用いる方法として、過去のクロマトQ&AにWakopak®Wakosil-PTCカラムと溶離液を用いて遊離アミノ酸の組成分析法を実施する方法が紹介されていますが、試料のPTC-誘導体化方法を教えてください。

アミノ酸組成分析法は、タンパクやペプチドの研究の場においてはもちろんのこと、食品中の遊離または構成アミノ酸の分析や、各種発酵過程におけるモニタリング、あるいは、尿や血液を試料としたアミノ酸代謝異常症の診断など、各方面、分野において非常に重要な分析方法です。

アミノ酸組成分析法で代表的な方法は、アミノ酸を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離した後、ニンヒドリンやo-フタルアルデヒド(OPA)などで発色または発蛍光させて検出する(1) ポストラベル法と、あらかじめアミノ酸を標識した後、HPLCで分離分析する(2) プレラベル法、また近年、LC/MSの普及によりアミノ酸を誘導体化せずに検出する(3) 直接検出法、の三つに大別されます。LC/MSで測定する際にも高感度に分析するためにプレラベル法による誘導体化が行われています。

当社では、HPLC-UVに適するプレラベル法、HPLC-MSに適するプレラベル法、に必要な試薬類、標準品、標準液、HPLCカラムなど取り揃えております。今回PTC-アミノ酸分析を実施する際に当社が推奨している誘導体化方法をご紹介いたします。

PTC-アミノ酸 誘導体化方法(当社推奨法)

誘導体化手順
  1. 試料(10 pmol~500 nmol程度)およびアミノ酸混合標準液H型 10 µL(25 nmol)を各々エッペンドルフチューブにとる。
  2. 減圧下に乾燥する。
  3. エタノール/精製水/トリエチルアミン(TEA)混合液(2/2/1) 20 µLを加え撹拌する。
  4. 減圧下に乾燥する。
  5. エタノール/精製水/TEA/PITC混合液 (7/1/1/1) 20 µLを加え撹拌する。
  6. 室温にて20分間反応させる。
  7. 減圧下に乾燥する。
  8. 分析まで冷凍保存する。
  9. 分析時に溶離液Aに溶解して分析する。(標準アミノ酸の場合1 mLに溶解し、10 µLインジェクションすると250 pmolに相当する。試料は適当量の溶離液Aに溶解して分析する。)

誘導体化反応
注:
  1. 試料を標識する際には必ず標準液も同時に標識し、その標準液の分析結果を用いて試料中のアミノ酸の定量計算を行います。
  2. 標識した試料は乾燥状態では冷凍保存(-20℃)により3ヶ月程度は使用できます。溶離液Aに溶解したものは、冷凍保存により数日間は使用できます。

ワコー PTC-アミノ酸分析システム(Wako PTC-AAA System)

図1.PTC-アミノ酸の分析
  • アミノ酸混合標準液H型(250 pmol)
    アミノ酸混合標準液H型(250 pmol)
  • 醤油中の遊離アミノ酸
    醤油中の遊離アミノ酸
LC Condition

Column : Wakopak® Wakosil-PTC (4.0 mm x 200 mm)
Eluent : A) PTC-Amino Acids Mobile Phase A, B) PTC-Amino Acids Mobile Phase B
linear gradient 0→15min. B 0→70%
Flow Rate : 1.0 mL/min. at 40℃
Detection : UV 254 nm
Sample : PTC-Amino Acids
Injection Vol. : 10 µL

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