【クロマトQ&A】:アミノ酸分析用HPLCカラム、Wakopak Wakosil-PTHとWakopak Wakosil-PTCの特長と用途の違い
本記事は、Analytical Circle No.60(2011年3月号)に掲載されたものです。
Wakopak®には2種類のアミノ酸分析用カラムがありますが、特長と用途など違いを教えてください。
①Wakopak®Wakosil-PTH → PTH誘導体化アミノ酸分析用カラム(アミノ酸配列分析)
②Wakopak®Wakosil-PTC → PTC誘導体化アミノ酸分析用カラム(アミノ酸組成分析)
どちらも専用の溶離液を使用してアミノ酸の一斉分析が可能です。
アミノ酸は、それぞれの方法で誘導体化することで、紫外吸収検出器(UV検出器)で高感度に分離分析ができます。
①は、タンパク質やペプチドの一次構造分析用のカラムです。イソクラティック法によりPTH-アミノ酸を分離します。
プロテインシークエンサーのHPLC装置にカラムを接続し、Edman分解反応によって誘導体化したPTHアミノ酸を分離します。タンパク質やペプチドをEdman分解反応によりN末端を順次PTH化し、切り離されたPTH-アミノ酸をカラムで分離してアミノ酸配列を調べることができます。
②は、遊離のアミノ酸を誘導体化したPTC-アミノ酸をグラジエント法により分離分析し、アミノ酸組成を分析します。
試料中の遊離アミノ酸は、フェニルイソチオシアナート(PITC)試薬で簡便に誘導体化することができ、1 pmolまでの高感度分析が可能です。またタンパク質やペプチドなどの試料を塩酸加水分解などの方法によりアミノ酸を遊離し、PTC誘導体化して、試料中のアミノ酸組成分析が可能です。
図1、図2にアミノ酸混合標準液の分析例を示します。
Column : Wakopak®Wakosil-PTH, 4.6 mm x 250 mm
Eluent : PTH-Amino Acids Mobile Phase
Flow Rate : 1.0 mL/min. at 40℃
Detection : UV 269 nm
Sample :
1) Asp, 2) Glu, 3) Asn
4) Gln, 5) Ser, 6) Thr
7) His, 8) Gly, 9) Ala
10) Tyr, 11) Arg, 12) ΔThr
13) Met, 14) Val, 15) Pro
16) Trp, 17) Phe, 18) Lys
19) Ile, 20) Leu
Column : Wakopak®Wakosil-PTC, 4.6 mm x 250 mm
Eluent : A) PTC-Amino Acids Mobile Phase A, B) PTC-Amino Acods Mobile Phase B
linear gradient 0→15 min. B = 0→70 %
Flow Rate : 1.0 mL/min. at 40℃
Detection : UV 254 nm 0.32AUS
Sample : PTC-Amino Acids soln. (250pmol)
●Wakosil-PTH文献:井上逸男, 福本昌巳, 上森仁志, 佐方由嗣, 森田直樹, 奥村毅 : 生化学, 60, 876 (1988)
●Wakosil-PTC文献:井上逸男, 福本昌巳, 上森仁志, 佐方由嗣, 庄司省三, 久保田幸穂 : 生化学, 61, 1012 (1989)