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【テクニカルレポート】HPLC 法による水中農薬の一斉分析

本記事は、和光純薬時報 Vol.67 No.3(1999年7月号)において、和光純薬工業 大阪研究所 上森 仁志が執筆したものです。

ゴルフ場で使用される農薬による水質汚染を未然に防止するために、平成 2 年にゴルフ場の排水口における遵守すべき農薬濃度の指針値等を定めた「暫定指導指針」が環境庁より公示され、その指針に基づく水質調査、指導がスタートした。これら農薬の一斉分析にはシアノプロピル型充てん剤が有効であるとの知見を得、ゴルフ場農使用農薬分析専用カラムとして「Wakopak Wakosil Agri-9」を開発した。

本カラムはイソクラティック法により 9 種類の農薬を一斉に分析することが可能であったが、一昨年度改定された暫定指導指針により追加されたトリクロピル酸、及び昨年度厚生省より発表された「水道水質に関する見直し」において追加された 2,4-PA、ベンタゾン、カルボフランを本分析系に適用させたところ、溶出位置が重なり同時分析が困難であった。

そこで、アシュラム、オキシン銅、チラウム、トリクロピル酸、メコプロップ、2,4-PA、ベンタゾン、カルボフランの 8 種類の農薬と HPLC で測定が行われているベンスリドの分析に焦点を絞り一斉分析条件の検討をイソクラティック法とグラジエント法で行った。

標準を添加した河川水を固相抽出カートリッジで前処理後、検討した分析系に適応したところ良好な分離が得られたので、その分析例を図 1、2 に示した。

jiho_67-3_tech_01.png

イソクラティック法は、試料由来の夾雑物の妨害を受けることなく 8 種類の農薬を良好に分離することができ 20 分以内に測定が可能であった。しかし、保持の大きいベンスリドは溶出が遅れ同時分析が困難であったため、同一前処理試料を別の分析系(ODS カラムで分離)で並行に実施する方法を採用し迅速分析を達成した。

グラジエント法は、若干のベースライン変動が認められるものの、9 種類の農薬を一斉に分析することが可能であった。

両法とも実用性の高い方法と考えているが、どちらの分析系を選択するかは分析者の判断によるところが大きい。

関連資料

  1. ゴルフ場使用農薬に係わる暫定指導指針の改定について
     平成 9 年 4 月 24 日付環境庁通達
  2. 水道水質に関する基準の見直しについて
     厚生省ホームページ報道発表資料 平成 10 年 12 月 17 日付
  3. HPLCによる残留農薬の迅速分析について
     和光純薬時報, 62(1)(1994).
  4. 残留農薬試験用固相抽出カートリッジ Presep-Agri
     和光純薬時報, 62(3)(1994).
  5. HPLC によるゴルフ場使用農薬の分析
     和光純薬時報, 66(2)(1998).
  6. シアノプロピルシリカゲルを用いた HPLC によるゴルフ場使用農薬の同時定量
     上森、吉田 他:分析化学, 44, 443(1995).
  7. HPLC 法によるゴルフ場使用農薬の迅速分析と高感度化の検討
     上森、吉田 他:日本分析化学会第 47 年会要旨集, P267(1998).
  8. 環境分析を支援するHPLC 充填剤と分析方法の開発
     上森:第 129 回液体クロマトグラフィー研究懇談会要旨集(1998).

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