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【クロマトQ&A】:PTC誘導体化アミノ酸分析法における、アミノ酸混合標準液成分以外のアミノ酸分析

本記事は、Analytical Circle No.75(2014年12月号)に掲載されたものです。

HPLC法による遊離アミノ酸の分析法として過去のクロマトQ&A(No.60(2011年3月号)No.72(2014年3月号)に掲載)にPTC誘導体化法が紹介されていますが、アミノ酸混合標準液H型の混合成分以外のアミノ酸も分析することが可能でしょうか。

アミノ基を持つ化合物のPTC化が可能です。

PTC(フェニルチオカルバモイル)化は、フェニルイソチオシアナート(PITC)試薬(コードNo.162-08473)を用いて誘導体化する方法で、一級アミンおよび二級アミンに反応します。誘導体化した化合物の分子吸光係数がどのアミノ酸もほとんど同じであるという特長を有しています。多成分のアミノ酸の同時分析にはグラジエント溶出が必要になりますが、Wakopak®Wakosil-PTCと専用溶離液を使用することで簡便に再現性の良いアミノ酸の分離分析が可能です。

アミノ酸混合標準液H(コードNo.019-08393)の混合成分以外のアミノ酸についても代表的なアミノ酸については、誘導体化してWakopak®Wakosil-PTCと専用溶離液を用いて分析した際の溶出位置を確認しています。

フェニルアラニンの保持時間を1とした時の各アミノ酸の相対保持時間を表1にまとめて示しました。

HPLCで汎用的に使用されている紫外吸収検出器(UV検出器)で、1 pmolまでの高感度分析が可能であることも特長の一つで、食品中や生体試料中などの遊離アミノ酸、およびタンパク質やペプチドなどから塩酸加水分解などの方法により遊離したアミノ酸を誘導体化することで、試料中のアミノ酸組成分析が簡便に実施できます。

Table 1. Relative retention times for PTC derivatives of amino acids
  • No. Amino acid R.t.(※)
    1 Cysteic acid 0.191
    2 Phosphoserine 0.204
    3 Aspartic acid 0.226
    4 Glutamic acid 0.259
    5 Carboxymethyl cysteine 0.299
    6 α-Aminoadipic acid 0.356
    7 Hydoroxyproline 0.362
    8 Asparagine 0.461
    9 Galactosamine 0.466
    10 Serine 0.482
    11 Glucosamine 0.483
    12 Glutamine 0.493
    13 Glycine 0.512
    14 Homoserine 0.526
    15 Histidine 0.542
    16 β-Alanine 0.545
    17 Citruline 0.552
    18 Carnosine 0.574
    19 Methionine sulfoxide 1 0.577
    20 Taurine 0.577
    21 Arginine 0.583
    22 Methionine sulfoxide 2 0.586
    23 γ-Amino butyric acid 0.601
  • No. Amino acid R.t.(※)
    24 Threonine 0.601
    25 1-Methyl histidine 0.606
    26 3-Methyl histidine 0.611
    27 Alanine 0.620
    28 β-Amino butyric acid 0.635
    29 Proline 0.635
    30 Methionine sulfone 0.664
    31 Ammonia 0.676
    32 α-Amino butyric acid 0.722
    33 Tyrosine 0.777
    34 Valine 0.824
    35 Methionine 0.854
    36 Cysteine 0.883
    37 Isoleucine 0.933
    38 Leucine 0.945
    39 Norleucine 0.967
    40 Nitrotyrosine 0.987
    41 Phenylalanine 1.000
    42 Tryptophan 1.017
    43 Ornithine 1.020
    44 Lysine 1.063
    45 Reagent 1.080
    46 N-Methyllysine 1.100

水色行:タンパク質構成アミノ酸
緑色行:試料、試薬由来成分
赤色行:(コードNo.019-08363) Amino Acids Standard Solution Type Hの合成19成分

※Phenylalanineの保持時間を基準にして算出した相対保持時間。

Column : Wakopak®Wakosil-PTC 4.0 mm x 250 mm
Flow rate : 1.0 mL/min. at 40℃
Gradient : B conc. 0-70 % (20 min)
Detection : UV 254nm

Fig.1 アミノ酸混合標準液H型の分析例

●Wakosil-PTC文献:井上逸男,福本昌巳,上森仁志,佐方由嗣,庄司省三,久保田幸穂:生化学,61,1012(1989).

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