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【連載】Talking of LAL「第28話 エンドトキシン試験法の実際」

本記事は、和光純薬時報 Vol.65 No.3(1997年7月号)において、和光純薬工業 土谷 正和が執筆したものです。

第28話 エンドトキシン試験法の実際

今回は、平成 8 年に改正された日本薬局方に基づいたエンドトキシン試験法を、実際にトキシノメーターで行う場合について考えてみましょう。

第十三改正日本薬局方1)(以下 13 局)に取入れられたエンドトキシン試験法では、定量的な方法が認められました。13 局では光学的方法を比濁法及び比色法に分けていますが、実際の試験では、検量線の作成方法によっても分けられています。すなわち、検量線におけるエンドトキシン濃度が実数目盛か対数目盛かという区別です。

反応干渉因子試験における規格も、エンドトキシン濃度に実数目盛を用いる方法では 75% から 125% の回収率、対数目盛を用いる場合には 50% から 200% の回収率という違いがあります。トキシノメーターでは、ゲル化(または発色)がある一定のレベルに達するまでの反応時間(ゲル化時間)を解析する方法を用います。検量線は、エンドトキシン濃度とゲル化時間の対数プロットで作成します。

検量線作成のためのエンドトキシン濃度の設定は重要です。その最も大きな理由は、定量試験法で製品の合否を判定するときの基準が検量線の中央値 m によって決まるからです。すなわち、反応干渉因子試験における試料の希釈倍数が、m と試料のエンドトキシン規格値から決まり、最終的な定量試験においては、この希釈倍率で希釈した試料を測定し、そのエンドトキシン許容量が m 未満と定められているからです。

m を大きくすると、試料の希釈倍率を下げることができますが、試料の反応への影響が大きい場合は希釈倍率を大きくする必要がありますから、m を小さくする必要があります。

FDA ガイドライン2)にもあるように、通常、エンドトキシンの定量は検量線の範囲内で行います。工程検査等、広い範囲でエンドトキシンを定量したい場合は、広い範囲の検量線が必要になります。

各測定法で検出できるエンドトキシン量には限界がありますから、検量線を広くとるほど m は大きい値しかとれなくなります。従って、製品を検査する定量試験を行う場合には、比較的狭い範囲の検量線を使用し、m を都合の良い値に設定することが得策といえましょう。

これまで、定量的なリムルス試験を行うとき、FDA ガイドライン2)及びガイダンス3)が主に参考にされてきました。ガイダンスでは、検量線の中央値における阻害促進試験(反応干渉因子試験)も記載されているものの、ガイドラインでは、4λ(λは検量線の最小エンドトキシン濃度)における阻害促進試験を採用しています。

この方法で測定した結果を、今回の 13 局エンドトキシン試験法に適用できないかを考えてみましょう。ガイドラインに従ってエンドトキシン試験を行う場合、2 倍希釈系列のエンドトキシンを使用して検量線を作成しています。そこで、測定したエンドトキシン濃度のうち、2λ、4λ、8λだけを使って検量線を作成し直すと、4λが m ということになります。13 局では、4λがエンドトキシン許容限界になりますから、λまで測定範囲の認められたガイドラインとは異なる点に注意が必要です。

試料の希釈はどうでしょうか。13 局では試料の希釈倍率が定められていますから、この値を計算したとき、これまで試験してきた濃度と異なっていると、試験結果の利用はできないことになります。ガイドラインでは特に試料の希釈倍率を定めていないので、最大希釈倍率を超えてない範囲で、どのような濃度で試験することも可能です。

しかし、実際は、これまで試験してきた濃度が、13 局対応濃度と同じになることは珍しいでしょうから、これまでのデータが利用できることは少ないかもしれません。ただ、今後、13 局と FDA の両方に対応していく場合、エンドトキシン添加量の設定を工夫することで、手間が省けることがあるかもしれません。

局方でもトキシノメーターのような定量法が使用できるようになった現在、各施設における好ましい条件でエンドトキシン試験を行うよう、試験の条件を設定することができるのではないでしょうか。

参考文献

  1. 第十三改正日本薬局方、一般試験法、p.39 (1996).
  2. Guideline on Validation of the Limulus Amebocyte Lysate Test as an Endproduct Endotoxin Test for Human and Animal Parenteral Drugs, Biological Products, and Medical Devices, Food and Drug Adm. (1987).
  3. Interim Guidance for Human and Veterinary Drug Products and Biologicals, Food and Drug Adm. (1991).

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