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【インタビュー記事】 Presagen社 設立者兼CEO Michelle Perugini博士:Life Whisperer ARTにおけるAI活用の未来

Life Whisperer Viabilityを開発したPresagen社 設立者兼CEOのMichelle Perugini博士にインタビューして参りました。
(インタビュー前編はこちら

スコアリング対象がDay 5胚のみである理由はありますか?
また、Day 6胚を評価したい場合はどうすればよいでしょうか?


胚が形態学的に良質な状態に見えても、Day 5胚と比べDay 6胚は妊娠可能性が低下することがよく知られているため、Day 5胚の画像を主な対象とすることに決めました。またDay 5胚画像はDay 6胚画像と比較して考慮すべき交絡因子が少ないことも理由です。我々の予備研究では、Life WhispererはDay 6の胚画像でもスコアリング可能であることが示されていますが、たとえすべての胚が十分なブラストに達していなくても、Day 5の段階ですべての胚をスコアリングすることを推奨しています。この方法は、着床率の低下と胚の発育速度は関連しているという事実に基づき、胚の質を効果的に比較出来るからです。もしDay 6の胚画像しかない場合には、Day 6の胚画像をスコアリングして参考にすることも出来ます。

日本で公開予定の新機能 「Life Whisperer Genetics」について教えてください。


Life Whisperer Viability(以降LW Viability)は胚の妊娠可能性を評価するように学習させましたが、Life Whisperer Genetics(以降LW Genetics)には胚が正倍数性体である可能性を評価するように学習させました。 具体的には、LW Genetics は、PGT-A に基づいて結果が判明している胚の画像を使用して開発されました。正倍数性胚は異数性胚よりも妊娠可能性が高いことが知られているため、移植用の胚を選択する際に染色体の状態を考慮することが重要な要素となります。これには、着床率の向上、流産のリスクの軽減、生児出生率の向上などが含まれます。通常PGT-Aにおけるラボでの手順は、対象となるすべての胚を生検し、検査会社に送ることです。次に、正倍数体として識別された胚の中から、形態学的に最も優れている胚が移植用に選択されます。私たちの研究では、最初にLW Genetics を使用した後、 LW Viability によって胚をスコアリングすることで、妊娠までの時間をさらに短縮できることを示しています。この組み合わせた方法は、PGT-Aによる検査が行われていない胚に対して特に効果的でした。LW Genetics は、染色体検査を非侵襲的に、すぐに評価できるため、LW Viability と組み合わせて使用すると、非常に有効な胚評価サポートツールになります。

最後に、AI胚評価システムの開発者として、ARTの将来をどのように見ていますか。


AI技術は不妊治療の様々な場面で使用できます。例えば私たちは現在、卵子細胞/卵子潜在能力や、子宮内膜受容能にAIを組み込むべく開発を進めています。他にも、IVFの成功率を予測したり、精子の生存率を調べたり、刺激のプロトコルなどの様々なアプリケーションを準備しています。会社として、IVFの全ての過程においてAIを開発し、ラボやクリニックにおける妊娠率や業務効率を改善することを目指しています。そして、世界協働のAIプラットフォーム「AI Open Projects」を用いて、これらの製品を築いていきます。

LWに関する論文については、こちらをクリックしてください。

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