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【テクニカルレポート】Wakopak® を使用した水質残留農薬のLC/MS/MS 分析

本記事は、和光純薬時報 Vol.76 No.2(2008年4月号)において、和光純薬工業 試薬研究所 吉田 貴三子が執筆したものです。

平成16年4月1日から施行された改正水道法では水質基準以外にも、水質管理上留意すべき項目として水質管理目標設定項目が設定され、101種の農薬とそれらの精度の高い測定方法として、GCMS法、LC-MS法が採用され、多成分の一斉試験法が示されています。

昨年、厚生労働省の水質基準省令の改正に伴い、水質管理目標設定項目の検査方法の一部が見直され(平成19年11月15日建水発第1115002号)農薬類の対象農薬リストにフィプロニル(殺虫剤)が追加され平成20年4月から適用されることになりました。また、検査方法として設定された"別添方法18固相抽出-LC/MSによる一斉分析法"の対象成分にGC/MSの分析対象であったフェンチオン(MPP)とその酸化物5種類も追加され、ダラポン、ベンフラカルブ、チオファネートメチルは除外されています。

筆者らは、本誌Vol. 72 No. 2に農薬のLC/MS分析例を紹介していますが、今回新たに追加された農薬を含め、LC/MS/MS法による一斉分析の分析条件と固相抽出カラムによる農薬の回収率を検討したので紹介します。

別添方法18の対象となっている農薬は、5種類のMPP酸化物を含めて31種類ですが、今回は、その中の28種類を混合した混合液を使用して最適となる分析条件を検討しました。

分析に使用したカラムはWakopak® MS-Agri-9 (2.0 x 150mm)で溶離液には酢酸アンモニウム緩衝液(pH 3.7)とアセトニトリルを使用したグラジエント条件を設定しました。Fig. 1、2にクロマトグラムを示しましたが、安定化時間も含めて23分間で分析は終了し、再現性にも優れた条件となっています。なお、Table 1、2に参考のため検出イオンと保持時間を示しました。全28種類のうち、18種類の農薬がポジティブモードで、10種類の農薬がネガティブモードで高感度に検出できており、実用性の高い方法ではないかと考えています。

Fig. 1.pos mode 18 compounds
Fig. 1.pos mode 18 compounds
Fig. 2.neg mode 10 compounds
Fig. 2.neg mode 10 compounds
  • HPLC Conditions

    Column:Wakopak® MS-Agri-9、2.0 x 150mm
    Eluent:A)10 mmol/L CH3COONH4 (pH 3.7)
    B)CH3CN
    Flow rate:0.2 mL/min. at 40℃
    Injection vol.:1ppm、2 µL

    Gradient:

    min. B conc. (%)
    0-10 12-70
    10-13 100
    13-23 12
  • MS/MS Conditions

    ESI, MRM

    IonSpray Voltage: 5,500V (pos) -4,500V (neg)
    Temperature: 700℃ 300℃
    Curtain Gas: 40 20
    Collison Gas: 5 3
    Ion Source Gas 1: 80 40
    Ion Source Gas 2: 70 80
    System: 3200Q TRAP(ABI)
Fig 3.農薬回収率測定 固相抽出条件

Table 3.混合外成分 3 Comp
水質
農薬No.
Sample Name 回収率(%)
28 Oxine-copper 96.2
48 Carbaryl (NAC) 101.0
75 MBC:
Benomyl分解
97.5

混合時の安定性に問題があり除外した品目です。

次に、追加された7種類の農薬について、前処理時の回収率について検討しました。前処理カラムは、前回の報告の時に使用したタイプと同じPresep® -C Agri (Short)を使用し、公定法に準拠した方法で回収率を検討しました。固相抽出条件をFig. 3に、その結果をTable 1~3に示しましたが、カラムからの溶出に使用する溶媒液量は2 mLで十分であり、吸着性の低いメソミル以外は良好な回収率が得られています。

Table 1.pos mode 18 Compounds
水質
農薬No.
Sample Name Q1 / Q3 RT (min.) 回収率(%)
74 Methomyl 163.1/88.1 amu 4.4 50.8
(85.2)* 1
71 MPP oxon sulfoxide 279.0/104.2 amu 5.8 101.6
87 Tricyclazole 190.0/163.2 amu 6.9 99.1
71 MPP oxon sulfone 295.0/217.1 amu 7.2 99.7
18 Carbofuran
(Carbosulfan 代謝物)
222.1/165.2 amu 8.5 103.1
96 Thiodicarb 355.1/88.1 amu 8.6 99.6
71 MPP sulfoxide 294.9/109.0 amu 9.0 100.1
1 Thiuram 240.9/88.1 amu 9.5 94.3
82 Probenazole 224.0/130.2 amu 9.5 98.6
71 MPP oxon 263.0/231.1 amu 9.6 99.5
86 Bensulfuron-methyl 411.0/149.2 amu 10.0 100.7
95 Flazasulfuron 408.2/182.1 amu 10.1 98.6
71 MPP sulfone 310.9/124.9 amu 10.4 99.2
98 Siduron peak1* 2 233.1/137.2 amu 10.4 99.7
98 Siduron peak2* 2 10.6 98.3
90 Azoxystrobin 404.1/372.1 amu 10.8 99.6
84 Dymron 269.1/151.1 amu 11.1 99.6
71 MPP 279.0/169.0 amu 12.1 104.3
58 Carpropamid 336.0/139.2 amu 12.2 101.8
Table 2.neg mode 10 Compounds
水質
農薬No.
Sample Name Q1 / Q3 RT (min.) 回収率(%)
36 Asulam 228.9/196.7 amu 5.6 99.6
17 Bentazone 239.1/131.6 amu 6.8 99.3
19 2,4-PA 219.9/161.7 amu 7.5 99.1
20 Triclopyr 255.9/198.1 amu 8.0 101.2
45 MCPP(Mecoprop) 213.0/140.9 amu 8.8 99.9
94 Halosulfuron-methyl 433.6/252.2 amu 9.6 99.1
68 DCMU(Diuron) 232.0/186.9 amu 9.7 100.4
26 Iprodione 329.9/245.1 amu 11.4 98.9
42 Bensulide(SAP) 395.9/212.7 amu 12.3 96.7
102 Fipronil 436.8/330.1 amu 12.4 97.3

* 1 Methomyl(  )内の回収率はPresep®-Agri 使用時
* 2 Siduron:2peak 検出
灰色行:平成20 年4月" 別添方法18" 一斉分析試験に追加成分

以上、Wakopak® MS-Agri-9 とPresep® -C Agri (Short)を使用した水質農薬のLC/MS/MS分析例をご紹介しましたが、当社は標準品から分析までのすべての商品を取揃えておりますので、ご利用いただければ幸いです。


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