【テクニカルレポート】Wakopak®Wakosil-II 5SIL-AQ を用いた動物用医薬品チアムリン、ロベニジンの分析
本記事は、和光純薬時報 Vol.74 No.3(2006年7月号)において、和光純薬工業 試薬研究所 吉田 貴三子が執筆したものです。
近年、LC/MS 分析の普及に伴い、LC/MS への適合性を保証した溶媒や試薬、分析用カラムが市販されており、分析用カラムには、汎用性の高いODS 充てん剤(C18、オクタデシルシリカゲル)が主に使用されている。しかし、このODS 充てん剤でも一部の化合物(例えば、薬物と薬物代謝物に代表される高極性物質や塩基性物質)において、溶出力の小さい水系の移動相やイオンペアー試薬を使用しても分離が達成されない場合があり、それを補完する目的で、未修飾のシリカゲルカラムの有用性が提案されてきた。そこで未修飾のシリカゲルカラムの有用性を確認し、高極性物質分析用カラムWakopak®Wakosil-II 5 SIL-AQ の開発を行った(なお、その特長と有用性など詳細は、和光純薬時報 2006年 Vol.74 No.1 を参照)。
今回は、2006年5月29日から施行されたポジティブリスト制において、規制対象となる農薬類、動物用医薬品類の一斉分析条件の検討を進める中で、ODS カラムで良好なピーク形状が得られなかった「チアムリン」と「ロベニジン」の分析にWakopak®Wakosil-II 5 SIL-AQ を適応し良好な結果が得られた(図1と図2に両化合物の構造とクロマトグラムを示す)。
ODS カラムに比べてピーク形状と回収率に大きな改善効果が認められ、またLC/MS 分析へ適応可能な移動相条件(アセトニトリルと揮発性酸を使用)で分離が達成できるなどの利点があり、ポジティブリスト関連の分析業務に携わる方々にとって、少しでも参考になれば幸いである。