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分析 テクニカルレポート

【テクニカルレポート】汎用型HPLC 装置を使用した場合のカラムサイズとカラム性能の関係

本記事は、和光純薬時報 Vol.68 No.2(2000年4月号)において、和光純薬工業 大阪研究所 上森 仁志が執筆したものです。

近年、移動相に使用する有機溶媒の使用量削減を目的として、分析用カラムのダウンサイジング化が急速に進んでいる。ダウンサイジング化の方法としては、カラム内径を細くする方法とカラム長さを短くする方法があり、筆者はこれまでに、それぞれの方法の有用性と使用時の注意事項を本誌(和光純薬時報)にて紹介してきた1)

しかし、両方法とも従来型の HPLC 装置を使用した場合には、その性能が十分に発揮されない現象が認められたので、今回、その原因の調査とカラムサイズとカラム性能の関係について検討を行った。Wakosil-II5C18RS を充てんした内径の異なるカラム(2 mm I.D. × 150 mm, 3 mm I.D. × 150 mm, 4.6 mm I.D. × 150 mm)を調製し、表1. に示した条件によりカラムの基本性能を測定した。

Table 1. HPLC Conditions
Column I.D. 2 mm 3 mm 4.6 mm
Column Length 150 mm
Paking Wakosil-II5C18RS
Eluent CH3CN/H2O = 60/40 (v/v)
Flow rate (mL/min) 0.2 0.5 1.0
Sample (1)Uracil, (2)Benzene, (3)Naphthalene
Injection Volume (µL) 2 5 10
Column Temp 35℃
HPLC System
Tube I.D.
Flow Cell
Manual Injector
Shimadzu LC-6A, LC-10A
0.25 mm
Std. Type
Rheodyne 7125

その結果を表 2. にまとめて示したが、(1)通常使用されている内径 4.6 mm カラムでは HPLC 装置の影響をほとんど受けない、(2)カラムサイズが小さくなるに従ってカラム性能は低下する、(3)その現象は LC-6A において顕著である、(4)オートインジェクターの利用は全般的にカラム性能を低下させる、との結果になった。

Table 2. Correlation of Column performance and Column size
LC-6A Auto Injection
Column I.D. 2 mm 3 mm 4.6 mm
N 5,400 8,000 12,300
k' 2.68 3.24 3.65
As 1.23 1.15 1.09

LC-10A Auto Injection
Column I.D. 2 mm 3 mm 4.6 mm
N 7,500 9,400 13,100
k' 3.14 3.53 3.80
As 1.20 1.17 1.10

LC-6A Manual Injection
Column I.D. 2 mm 3 mm 4.6 mm
N 7,000 9,600 13,600
k' 2.81 3.32 3.70
As 1.19 1.09 1.10

LC-10A Manual Injection
Column I.D. 2 mm 3 mm 4.6 mm
N 8,600 10,300 13,800
k' 3.26 3.60 3.78
As 1.08 1.04 1.15

N = Theoretical Plates, k' = Capacity factor, As = Asymmetry factor. N, k', As are calculated with last peak.

カラムサイズが小さくなるに従ってカラム性能が低下する最大の要因は、充てん剤の絶対量に対する装置の空隙率(カラム空隙とセル容量も含んだインジェクターから検出器までの全容量/充てん剤の絶対量)であり、この空隙率をどれだけ減少させられるかが焦点と考えられた。k' 値はこの空隙率の指標となり、k' 値が小さい値を示す程、空隙率が大きく、結果としてカラム性能は低下していた。

今回の検討において一番驚いたことは、オートインジェクターの利用によるカラム性能の低下であった。ハード面がどのような構造になっているのか不明であるためコメントのしようはないが、使用者側からすれば改善をお願いしたい事項である(既に改善済かもしれないが)。

以上、汎用型 HPLC 装置を使用した場合のカラムサイズとカラム性能の関係について紹介した。今回の検討において、LC-6A などの汎用型 HPLC 装置に内径 2.0 mm カラムを接続して使用する場合には、著しい性能の低下が認められ、ダウンサイジング化の限界は内径 3 mm 程度までと考えられた。その時のクロマトグラムの変化を図 1. に示した。

jiho_68-2_tech_01.png

参考資料

  • 和光純薬時報 Vol.61, No.3(1993)に「セミミクロフロー領域におけるカラムサイズの影響」
  • 和光純薬時報 Vol.65, No.2、No.3(1997)に「セミミクロカラムの有用性と使用時の注意事項」
  • 和光純薬時報 Vol.66, No.1(1998)に「地球にやさしいHPLC 分析」

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