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【クロマトQ&A】カラム使用後の洗浄、保存にどんな溶媒を使用すればよいか

本記事は、Analytical Circle No.16(2000年3月号)に掲載されたものです。

HPLC を使用していますが、カラム使用後の洗浄、保存にどんな溶媒を使用していいかよくわかりません。カラム使用後の洗浄方法、保存方法を教えて下さい。

現在HPLC で使用されているカラムは、担体を充てんした市販のパックドカラムがほとんどだと思います。この場合、出荷時にカラム内に満たされている溶媒から使用する移動相に置換する必要があります。また使用した移動相のままカラムを置いておくとカラムの劣化につながることがあるため、カラム内を適当な溶媒に置換する必要があります。今回はカラム使用後の洗浄方法を中心に、移動相置換時の注意点、保存溶媒などについてお答え致します。

カラム内の溶媒は図1 のように、使用前、使用中、使用後で異なるのが一般的で、その都度溶媒を置換する必要があります。

カラム内溶媒
図1
ポイント

①まず溶媒の種類を確認
② HPLC 装置を移動相で十分置換後カラム接続
③移動相に緩衝液を用いる場合、塩の析出に注意
④液量は目安としてカラム容積の15 ~ 20 倍量
⑤試料をよく溶出でき、カラムに影響のない溶媒
⑥移動相に緩衝液を用いた場合、塩の析出に注意
⑦カラム購入時に封入されていた溶媒が一般的
⑧ハロゲンを含む溶媒を保存溶媒に使用しない
⑨カラムは密栓、乾燥させない
⑩カラム圧力の上昇に注意

1.出荷時封入溶媒・保存溶媒から移動相への置換

方法

カラム内に封入されている溶媒から、使用する移動相への平衡化に要する液量は、充てん剤・カラムサイズ・検出器・移動相などにより異なりますが、おおよその目安としてカラム容積の15~20 倍量と考えて下さい。イオン対クロマトグラフィーの場合は平衡化に時間を要する事があります。

注意点

  1. まずカラム内に封入されている溶媒の種類を確認して下さい。移動相と互いに混和しない場合、両方に混ざり合う溶媒で置換後、移動相に置換して下さい。その際カラム圧力の上昇に注意して下さい。
  2. 移動相に緩衝液などを用いる場合、カラム内が有機溶媒だと沈殿や結晶を生じカラム劣化の原因となる場合がありますので予め水に置換するなど考慮が必要です。
  3. カラムの接続は、HPLC 装置内も移動相で十分置換してから行って下さい。前に使用していた移動相の混入により劣化する場合があります。インジェクターのサンプルループ内、ダンパー、ミキサーなど特に注意が必要です。

2.移動相から保存溶媒への置換、カラムの洗浄

方法

試料をよく溶出できカラムに影響のない溶媒などで洗浄し保管して下さい。保存溶媒はカラム購入時に封入されていた溶媒が一般的です。

注意点

  1. 使用移動相から洗浄液への置換時は、相互の混和性、カラム圧力の上昇に注意して下さい。
  2. 緩衝液を使用した場合は蒸留水を流し塩類をカラム内から取り除いて下さい。有機溶媒を直接流すと沈殿や結晶を生じカラム劣化の原因となる場合があります。

3.カラムの保存

方法

内部に空隙やひび割れを生じないよう必ず密栓をして乾燥させないようにします。また長期保存する場合でも、1,2 ヶ月に一度カラム内を通液して下さい。

特に長期保存するする際は、カラム内を溶出力のある溶媒で十分洗浄し、できるだけ不純物を洗うことが必要です。長期使用などでカラムが汚染された場合の再生法、カラムの洗浄法を図2 に示します。また長期保存する場合の一般的な溶媒を表1 に示します。

図2 充てん剤別カラム洗浄法
表1 カラム長期保存時の溶媒
充てん剤 保存溶液
逆相系シリカゲル メタノールまたは
アセトニトリル
順相系シリカゲル
 シリカゲルカラム
 化学結合型充てん剤カラム

n-ヘキサン
エタノール
イオン交換系シリカゲル 水 /メタノール= 95/5

注意点

  1. 充てん剤とステンレス管が侵される、ハロゲンを含む溶媒などを保存溶媒に使用しないで下さい。
  2. 頻繁に洗浄したり洗浄液量を多くすることはカラムライフを短くする原因となりますので、できる限りお避け下さい。

以上、カラムの洗浄方法を中心に、移動相置換時の注意点、保存溶媒などについて述べました。カラムを長期間、安定して使用していただくために、カラム使用後の保守をお願い致します。

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