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凍結デバイスのトラブルシューティング

三菱製紙株式会社の凍結デバイス開発者 松澤篤史さんに、胚・卵子の凍結融解時に起こり得る下記事例について、応急処置をお聞きしました。

凍結タンクからデバイスを取り出す際に、キャップが割れてしまった

キャップが割れてしまった場合でも慌てる必要はありません。
凍結デバイスのキャップは、凍結タンク中で胚を保護する役割があります。引き続き凍結タンクの中で保管する場合は、新しいキャップを装着して、凍結タンクに戻し、引き続き保管してください。融解操作を行う場合には、割れたキャップの破片が胚載置部に接触しないように注意しながら、キャップを外し、通常通り融解操作を行ってください。

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融解時、泡が発生してしまう

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融解操作時の泡の発生は、操作者を悩ませる現象とお聞きしています。融解液中で胚を見つけにくくなる他、一番の悩みは、胚に泡が付着して、胚が融解液中を移動するなど、回収作業の妨げになることかと思います。泡が発生した場合は、ピペットの先端でどかしていくことが有効です。

融解操作時の泡の発生の原因は、1)融解液にデバイスを浸漬させる際の空気同伴、2)デバイス表面に付着した液体窒素が融解液中に持ち込まれることの二種類が考えられます。

  1. 空気同伴の問題に関しては、デバイスを液体窒素から融解液に移す際に、斜めに差し込むように融解液中に浸漬させることで空気同伴を抑制する方法が知られています。
  2. 日本で多く使われている開放型デバイスでは対策は難しいのですが、感染対策のために使用される閉鎖型デバイスを使用することで、泡の発生を回避する方法があります。閉鎖型デバイスは、デバイス表面が液体窒素に触れないため、融解液中に液体窒素を持ち込むことなく、泡の発生を低減することができるためです。

融解時、デバイスをタッピングしても胚が剥がれない

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TS液の浸漬時間が限られている中、胚が剥がれず焦ってしまうこともあると思います。その際はピペッティング等により、回収を試みる方法があります。ピペットで融解液を吹きかけるなどして、胚をデバイスの表面からはがしていきます。

余談ですが、胚とデバイス表面との接着はTS液への浸漬直後よりも、しばらく置いた後の方が緩くなりますので、規定の浸漬時間を意識しながら、しばらく融解液中に置くことも重要です。

融解操作時に胚が見つからない

デバイスを融解液に浸漬し、デバイス表面の胚が見つからず焦ってしまった事例をお聞きしたことがあります。想定される状況としては、一つはデバイス表面からの胚の剥離のタイミングが早く、見失ってしまったケースです。この場合は、融解液中の胚を探して回収します。その他珍しいケースかと思いますが、外したキャップの中から胚が見つかったケース等をお聞きしたことがあります。

凍結操作の際、凍結液の量が多すぎると、上記のリスクが高まることが知られています。凍結操作時の液量コントロールが胚の生存性を高めるためになされていますが、胚の回収の観点でも重要だと言えます。

キャップの中で、デバイスの根本が折れてしまった

キャップが閉まっている状態で、デバイスの根本が折れてしまったら、キャップを開けても良いか迷うと思います。そのような時でも慌てずに融解操作を行うことが可能です。

まず、攝子(ピンセット)やハサミを使って、液体窒素中でキャップを開けます。その後はケースによりますが、例えば攝子等で補助しながら、通常通り、先端の胚載置部を融解液に移動させるなどして、融解操作を行います。デバイスが正常な場合と同様に、胚を液体窒素から融解液に素早く移動させ、融解速度を損なわないようにすることが重要です。

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※以上の方法は三菱製紙社の凍結デバイスに限らず、全ての凍結デバイスを対象とした応急処置方法です。

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