数字を用いた物質分類
無数にある物質の中で、混乱をきたしやすい物質がいくつもありますが、物質には固有の番号が付けられています。その番号を利用して、物質の特定に結びつけることができます。 CAS ナンバー、CI ナンバー、EC ナンバーがその番号になります。
CAS ナンバー
「Chemical Abstracts」(1907年創刊)は、化学および化学工学に関連する文献の抄録と索引を収載した週間抄録誌で、アメリカ化学会の一部門である Chemical Abstracts Service(略称 CAS)から発行されています。
CASには、化学構造または組成が確定した1,000万件にもおよぶ既知の化学物質の構造情報が登録されています。これらの情報はCAS抄録番号で管理され、水ならば [7732‐18‐5] というように、ハイフンを含めて " 2~6 桁‐2 桁‐1 桁 " の最大11桁で表されます。この登録番号を用いれば、物質が簡単に確定できます。要するに、物質の背番号と思って頂いて結構です。この番号が同じであれば、同じ物質であるということになります。
CI ナンバー
色素を分類している番号です。昔から、市販の色素はメーカーにより製品名が異なることが多く、混乱をもたらす原因となっていました。
英国の The Society of Dyers and colorists(SDC)と米国の The American Association of Textile chemists and colorists(MTCC)は、色素を系統的に調査し、その化学構造および性質から分類し出版したものがカラーインデックスです。化学構造から分類して、色素に5桁の固有の番号を与えたのがカラーインデックスナンバーであり、物質の確定に使用できます。色素の性質から分類したものが、カラーインデックス一般名(Color lndex Generic Name)です。
EC ナンバー
酵素は名称がその由来、作用などから付けられるために混乱しやすいいので、国際化学連合および生化学連合の酵素委員会は酵素を分類(酸化還元酵素,加水分解酵素...)し、各作用ごとに酵素番号を与えて整理しました。
酵素番号は、「EC」から始まり、分類主群・分類副群・分類副々群・分類副々群内での登録番号から構成されています。例えば、ペプシンは「EC 3.4.23.1」、アミラーゼは「EC 3.2.1.1」と定義されています。
※CASナンバーとCIナンバーは、番号が同じならば同一物質である証拠となりますが、EC番号が同じの場合は「同じ作用をする酵素」であることであって、全く同じ動作条件を持つ酵素とは限りません。