前培養・媒精用途としてのCSCM-NX
当社で取り扱っているシングルステップ培地「CSCM-NX」を受精確認後の培養のみならず、採卵後の前培養と媒精としても使用頂いている、小塙医院の小塙先生に導入の経緯やプロトコル、臨床試験についてお聞きしました。
前培養、媒精用途でのCSCM-NXの使用を検討された背景を教えてください。
胚培養液の乳酸濃度を低くすると、初期胚、後期胚の両方で代謝ストレスが減り、効率良く代謝できるという論文を読み、当初は胚培養でCSCM-NXを使用しておりました。その後「胚と卵子の代謝形態が似ている」という文献を拝見し、前培養・媒精からCSCM-NXを使用すると更に培養成績が向上できるのではないかと考え、臨床試験を行うことにいたしました。
前培養、媒精のプロトコルはどのように設定していますか?
当院では、37℃、約2時間で前培養しています。前培養までの過程で特にこだわっている点は調節卵巣刺激を適確に行い、採卵で成熟した卵子を獲得することです。媒精のプロトコルは媒精精子濃度0.1 x 106/mL、温度は37℃、培養環境はO2:CO2:N2=5:6:89、媒精時間は19時間で翌日に受精確認をしています。また受精確認後に培地交換しています。下記の臨床試験でも同様のプロトコルを採用しています。
前培養、媒精でのCSCM-NX採用の決め手を教えてください。
臨床試験の結果が良好であったことと、培地の管理が一本化できたことです。まず臨床試験では、有意に3PN率が下がり、拡張胚盤胞率が上がりました。また38歳以下では良好胚盤胞率の有意な上昇も見られました。これは当初の仮説通り、代謝効率の上昇が要因と考えています。また前培養・媒精用培地と胚培養液を一本化することで管理がしやすくなり、使用量が増えることで常にフレッシュな培地で、卵子や胚の環境が大きく変わらずに培養できるという培養士の声もあり、採用に至りました。
試験方法
Day1時の胚の状態
良好胚盤胞率
保険適用開始にあたって小塙先生が気を付けていることを教えてください。
適確な調節卵巣刺激により至適な採卵数を得ることです。採卵・培養の保険点数が決まる場合、調節卵巣刺激次第では同じコストで採卵数が少ない患者様もいれば、多い患者様もいるというように採卵数の差が生まれます。おそらく年齢だけでなく採卵数の上限なども保険点数を付ける上では考慮されるかと思いますので、その中で最大限のパフォーマンスを出せる調節卵巣刺激を行うことが必要だと考えています。また、保険点数が決まることで施設間でのコスト格差はなくなるため、ドクターショッピングも起こりやすい状況になるかと予想できます。そういった意味で医師の適確な調節卵巣刺激は患者様および施設経営維持のため必須なスキルになると考えております。
胚培養液
CSCM-NX
- 乳酸濃度を低減することで、代謝ストレスを軽減
- 卵子前培養から使用可能
- 培地交換不要のシングルステップ培地