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【テクニカルレポート】Presep®-C DNPH ショートタイプの開発(その 2)

本記事は、和光純薬時報 Vol.72 No.1(2004年1月号)において、和光純薬工業 試薬研究所 久保田 守が執筆したものです。

大気及び室内空気中のアルデヒド類測定用捕集管 Presep®-C DNPH 及び Presep®-C DNPH (Short) に関して、空気サンプリング時の通気速度と吸引抵抗(真空度)比較結果を本誌(和光純薬時報)Vol. 71, No.2 で報告した。

Presep®-C DNPH (Short) は Presep®-C DNPH と同様、高純度ポリエチレン製カートリッジに DNPH(2,4-ジニトロフェニルヒドラジン)と酸触媒をコーティングしたシリカゲルが充てんされている。ショートタイプは基材ゲル物性、フィルター性能の見直しを行い、高速サンプリングが可能である。

以下、Presep®-C DNPH (Short) の特長と製品仕様ならびに上記 2 品目の選択方法、ブランク値と実試料測定例について記載した。

Presep®-C DNPH (Short) の特長

  • 通気時の抵抗が低く、高流速でのサンプリングが可能
  • 室内空気捕集に好適(厚生労働省法に準拠)
  • バックグラウンド値が低い

製品仕様

Table 1 に示す。

Table 1
Presep®-C DNPH (Short) Presep®-C DNPH
基材 ポリエチレン製カートリッジ
破砕状シリカゲル
粒子径 150-450 µm
細孔径 7 nm
比表面積 450 cm2/g
ポリエチレン製カートリッジ
破砕状シリカゲル
粒子径 75-150 µm
細孔径 7 nm
比表面積 450 cm2/g
充てん剤量 約 0.4 g(シリカゲル)/ カートリッジ 約 0.8 g(シリカゲル)/ カートリッジ
DNPH 量 約 1 mg / カートリッジ 約 2 mg / カートリッジ
サイズ 全長 3.8 cm、最大幅 1.9 cmφ
充てん部 1.0 φ x 0.8 cm
全長 5.0 cm、最大幅 1.9 cmφ
充てん部 1.0 φ x 1.6 cm
試料負荷量 約 75 µg(ホルムアルデヒドとして) 約 150 µg(ホルムアルデヒドとして)

捕集管の選択

Presep®-C DNPH

汎用タイプ。大気捕集などに好適*。充てん量がショートタイプの約 2 倍。

Presep®-C DNPH (Short)

室内空気や高通気速度での捕集に好適。サンプリングポンプの吸引能力に応じて本品を複数連結して使用することが可能。

* :大気捕集の際、測定値がオゾンの影響を受ける場合は、オゾンスクラバー(Presep®-C Ozone Scrubber)を大気吸引側に取り付けて捕集を行う。

ブランク値と実試料測定例

Presep®-C DNPH (Short) 1 本をポータブルポンプに接続し、実験室中の空気を流速 1.0 L/min. で 30 L 採取した。試料採取した捕集管及び未使用の捕集管を各々アセトニトリル(和光アルデヒド分析用)にて流速 1.5 mL/min. で抽出、5 mL にメスアップ後、抽出液各 10 µL を HPLC に注入した。

未使用捕集管の抽出液測定例を Fig. 1 に示した。ブランク成分としてホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトンが検出された。ブランク成分は捕集管及び抽出時に用いたアセトニトリル由来と思われるが、抽出操作(環境、器具類)から汚染を受ける場合があるので注意を要する。ブランク値測定の際、捕集管から抽出後、直ちに HPLC 分析を行うことが望ましい。Fig. 2 は空気 30 L 採取したときのクロマトグラムである。

  • Fig.1. 捕集管ブランク
    Fig.1. 捕集管ブランク
  • Fig.2. 空気30L
    Fig.2. 空気30L

HPLC Conditions
Column : Wakosil-II 5C18 RS, 4.6 x 250 mm, Eluent : CH3CN / H2O = 60/40 (v/v), Flow rate : 1.0 mL/min at 40 ℃, Detection : UV 360 nm, 0.005 AUFS (Fig. 1), 0.04 AUFS (Fit. 2), Injection Vol. : 10 µL

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