【クロマトQ&A】:大気中のアルデヒド類の分析を始めるにはどんな器材、カラム、試薬を使用すればいいですか
本記事は、Analytical Circle No.31(2003年12月号)に掲載されたものです。
大気中のアルデヒド類の分析を始めようと考えています。どんな器材、カラム、試薬を使用するのか教えて下さい。
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類は、悪臭防止法(環境省)、大気汚染防止法(環境省)、シックハウス(室内空気汚染)に係るガイドライン(厚生労働省)で大気および室内空気中の許容濃度、標準的な測定法が定められています。分析法としては、アルデヒドを2,4- ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)アルデヒドへ誘導体化し、HPLCで分析する方法が採用されています。
この方法に用いられる器材・試薬類を表1に、分析手順を図1に示します。ご参考までに弊社該当製品を併記しております。大気中からのアルデヒド類の捕集及びDNPH誘導体化は、DNPHコーティングシリカゲルを充てんしたカートリッジ型捕集管が一般に用いられています。またオゾンスクラバーは、DNPHアルデヒド誘導体を分解するオゾンを除去するために使用します。成分はヨウ化カリウムです。
表1.大気中のアルデヒド類分析に用いられる器材・試薬類
前処理試薬
捕集管: Presep-C DNPH
オゾン除去管: Presep-C Ozone Scrubber
抽出用溶媒: Acetonitrile (アルデヒド分析用)
HPLC分析システム
分析カラム: Wakosil DNPH- Ⅱ(4.6mmi.d. x 150mm)
溶離液: Wakosil DNPH- Ⅱ Eluent A, B
標準品: 16種アルデヒド-DNPH混合標準液
これらの器材・試薬類に求められる性能として次のようなことが考えられます。
① アルデヒド捕集/誘導体化捕集管、アセトニトリル......アルデヒド類のブランク値が低い。
② HPLCカラム、移動相......DNPH誘導体化アルデヒド類の分離に優れている。
①に関して市販カートリッジのブランク値を比較したのが図2です。市販A社品ではアセトアルデヒド、アセトンを始め他のアルデヒドも検出されました。それに対しPresep-C DNPHはホルムアルデヒド、アセトンがわずかに検出されたものの、数値はA社品と比較し低く抑えられており、アルデヒド類分析に、より適したカートリッジであるということがいえます。
-2,4-DNPH/ 1. Formaldehyde, 2. Acetaldehyde, 3. Acetone, 4. Acrolein, 5. Propionaldehyde, 6. Crotonaldehyde, 7. n -,Iso-Butyraldehyde, 8. Benzaldehyde, 9. Iso-valeraldehyde, 10. n -Valeraldehyde, 11. o -Tolualdehyde, 12. m -Tolualdehyde,13. p -Tolualdehyde, 14. Hexaldehyde, 15. 2,5-Dimethylbenzaldehyde