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分析 テクニカルレポート

【テクニカルレポート】ハチミツ中の残留抗菌性薬剤の HPLC 分析

本記事は、和光純薬時報 Vol.71 No.1(2003年1月号)において、和光純薬工業 試薬研究所 吉田 貴三子が執筆したものです。

近年、食品中の残留薬剤、特に輸入食品への残存が社会的な問題となっており、さまざまな測定法で食品検査が実施されている。ハチミツ、ローヤルゼリー、プロポリス等も中国、南米から輸入されており、輸入時に残留薬剤の検査が実施されている。先に、岡等はハチミツ中のテトラサイクリン系抗菌剤の分析を、前処理にシリカ系 ODS とカチオン交換(-COOH)固相抽出カラムを用い HPLC で実施する方法を報告しているが1)、今回この方法を参考にして、テトラサイクリン系抗菌剤(テトラサイクリン:TC、オキシテトラサイクリン:OTC、クロルテトラサイクリン:CTC)とクロラムフェニコール:CPを同時に前処理し、HPLC にて測定する方法を検討したので紹介する。

ハチミツ試料 10 g を使用、固相抽出カラムは、Presep®-RPP(200 mg)(和光)、SPE-COOH(500 mg)(J.T.Baker)、分析カラムは Wakopak® Navi C18-5、4.6 mm × 150 mm を使用し、固相抽出条件および HPLC 分析条件を検討した結果、各抗菌剤のハチミツ中濃度 0.05 ppm の検出が可能となった。その時の固相抽出方法を図. 1 に、TC、OTC、CTC、および CP の HPLC 分析例と分析条件を図. 2, 3 に示し、ハチミツに標準品を添加した時の回収率を表 1 に示した。

jiho_71-1_tech_01.png

Table 1. ハチミツへの標準添加回収率
回収率(%)n=4 平均値
添加量 0.05 µg/g 0.5 µg/g
Oxytetracycline 85.6 90.1
Tetracycline 90.7 90.0
Chlortetracycline 94.7 96.4
添加量 0.25 µg/g 0.5 µg/g
Chloramphenicol 77.9 80.5

Presep®-RPP は ODS と同様に逆相的な保持挙動を示す親水性ポリマーを充填したカラムであるが、高極性不純物を選択的に分離除去する効果が高く、シリカ系 ODS カラムに比較して最小の溶出液量で TC 類および CP を溶出可能であった。

引き続く SPE-COOH カラム処理は、TC、OTC、CTC を保持し、CP を素通りさせる効果があり、両者の分割と不純物の除去に有効に作用していた。ハチミツに標準品を添加した時の回収率は TC 類で 85.6 ~ 96.4 %、CP で 77.9 ~ 80.5 %と良好な結果を示し、検量線は 1 ng ~ 500 ng の注入範囲において良好な直線性を示した。

以上、Presep®-RPP(200 mg)、SPE-COOH(500 mg)および Wakopak® Navi C18-5、4.6 × 150 mm を使用したハチミツ中の残留抗菌剤の簡便な分析方法を紹介したが、Presep®-RPP(200 mg)の使用は溶出液量の削減に効果的であり、CP は CH3OH/CH3COOC2H5 = 10/90 で溶出可能であるため簡単に濃縮でき、高感度分析に対応可能と考えられた。

本分析例がハチミツ中の残留抗菌性薬剤の分析における簡便化の参考になればと考えている。

参考文献

1) Oka,H., Ikai,Y., Kawamura,N., Uno,K. and Yamada,M.:J.Chromatography, 400, 253(1987).

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