siyaku blog

- 研究の最前線、テクニカルレポート、実験のコツなどを幅広く紹介します。 -

【テクニカルレポート】Wakosil 充てん剤でオキシン銅の分析はできるか?

本記事は、Wako News No.2(1990年10月号)において、和光純薬工業 大阪研究所 上森 仁志が執筆したものです。

オキシン銅の分析は、オキシン銅専用カラム Wakosil-Cu(4.6 * 150 mm)カラムで容易に達成できる。ゴルフ場で使用されている農薬による水質汚染という新たな環境問題が指摘され、厚生省が主な農薬 21 種について飲料水に混入した場合の安全基準となる水質目標値を、環境庁もゴルフ場排水口での水質調査の許容濃度等を示した暫定指導指針を定めその測定が義務づけられた。

これらのうち HPLC 法での測定が採用されている農薬には、オキシン銅、アシュラム、チウラムの 3 種がある。アシュラム、チウラムの分析は通常の逆相 C18 充てん剤で何ら問題なく分析可能であるが、金属とのキレート形成能を有するオキシン銅の分析の場合には、原料シリカゲル中に微量に含まれる金属不純物の影響により、どのタイプの C18 充てん剤でも分析できるとは限らない。

Wakosil-Cu カラムは、この点を考慮に入れ開発された HPLC 用カラムであり、金属不純物の少ない高純度シリカゲルを原料として合成されているため金属とのキレート形成能を有する化合物(O,O-配位、O,N-配位など)に対して最適な充てん剤となっている。

以下に Wakosil-Cu(4.6 * 150 mm)を用いた場合のオキシン銅、10 ng の分析例ならびにアシュラム、チウラム各 10 ng の分析例を示した。

Fig.1 農薬の分析、Fig.2 オキシン銅の分析
Fig.3 アシュラムの分析、Fig.4 チウラムの分析

なお、GC 法での測定が採用されたダイアジノン、MEP、クロロタロニル、シマジンなども同一充てん剤・UV 検出法で十分に測定可能である。

キーワード検索

月別アーカイブ

当サイトの文章・画像等の無断転載・複製等を禁止します。