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【テクニカルレポート】ポリマー系親水性逆相固相抽出カラム Presep-RPP の使用例 血中濃度モニタリング薬物分析の前処理

本記事は、和光純薬時報 Vol.70 No.1(2002年1月号)において、和光純薬工業 試薬研究所 吉田 貴三子が執筆したものです。

近年、HPLC 及び GC 分析の試料前処理法として固相抽出法は、簡便性、迅速性、省力化の点で有用性が高く、従来の液液抽出法に代わって普及してきています。充填剤としては、ODS シリカゲル充てん剤が多く使用されていますが、固相抽出する目的成分によって充てん剤中の残存シラノール基や微量金属イオンの影響を受けやすいものがあります。

Presep-RPP は ODS と同様に逆相的な挙動を示すスチレンジビニルベンゼン-ポリメタクリレート系の親水性ポリマーを充てん剤に比較して①極性化合物の保持が大きい、②塩基性化合物の吸着が少ない、③使用可能な pH 範囲が広い、などの利点があり、ODS シリカゲル充てん剤では回収困難であった成分の固相抽出に最適です。

血中濃度のモニタリングが必要とされている薬物分析の前処理として、Presep-RPP を使用し良好な回収率を得ることができました。以下に塩基性の薬物である抗不整脈薬、プロカインアミドとその代謝物 N-アセチルプロカインアミドの血中濃度分析例をご紹介します。固相抽出カラムで血清の前処理、除タンパク後、溶出した薬物を HPLC 法で分析しました。

Fig.1 に抽出条件を、Fig.2 に HPLC 分析例を、Table.1 に回収率結果を示しました。

Fig1. 固相抽出条件
Fig2. HPLC 分析例
Table. 1
回収率(%)
n=4
Procainamide N-Acetyl Procainamide
平均回収率(%) CV(%) 平均回収率(%) CV(%)
1 標準液 101.6 2.3 97.6 2.9
2 牛血清添加 96.1 4.3 95.0 2.1

ODS シリカゲル充てんの固相抽出カラムでは高回収率が難しいプロカインアミドのような塩基性薬物も良好に回収することができ TDM(Therapeutic Drug Monitoring)で示されている治療域濃度の測定が可能でした。

また、同様の抽出条件で、Table.2 に示した薬物なども血清中から除タンパクし回収することができます。

Table.2 薬物回収率(標準液:n=4)
薬物名 平均回収率(%) CV(%)
1 dl-Propranolol Hydrochloride 99.3 0.5
2 Doxepin Hydrochloride 100.3 0.7
3 Trimipramine Hydrochloride 96.9 1.5
4 Theophirin 100.3 0.9
5 p-Acetamidophenol 98.8 0.8
6 Caffeine 100.2 1.0
7 Sulfamerazine 100.7 0.4
8 Salicylamide 100.8 0.3

最適サイズのカラム選択により、目的成分、濃度、検体量、分析方法、など諸条件に合わせた効果的な前処理が可能となると考えます。

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