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【テクニカルレポート】C30 型充てん剤 Wakopak Navi C30-5 の特性

本記事は、和光純薬時報 Vol.69 No.3(2001年7月号)において、和光純薬工業 大阪研究所 久保田 守が執筆したものです。

逆相系 HPLC 用充てん剤として、その広範囲な適用性と優れた耐久性を併せ持つ C18(ODS)型シリカが現在でも話題の中心に君臨するが、C18 より短いアルキル基(C1、C4、C8 など)や長いアルキル基(C22、C30 など)が結合された充てん剤も研究及びルーチン分析に使用されている。

この中で近年注目されているのが C30(トリアコンチル基)型シリカ充てん剤で、国産品も登場しその分離特性、認識能について多くの研究がなされている1-3

C30(トリアコンチル基)型シリカ充てん剤は、その長いアルキル鎖が硬直かつ伸びた状態でシリカ表面に結合し、そこから C18 では得られない溶質に対する選択性、形状認識能が出現すると推定されている4。とりわけ逆相系での同族体分離において C30 型充てん剤は優れた分離能を示すことが判ってきた1-3。その一方で、C30 型充てん剤を水 100 %移動相下で極性化合物の分離を行った場合、その成分保持力において高い再現性が得られたとの報告がされている5

今回、筆者らは C30 型充てん剤である Wakopak Navi C30-5 の選択性、形状認識能評価を行う目的で、Wakopak Navi C18-5(C18 型充てん剤)、Navi C22-5(C22 型充てん剤)の各 4.6 × 250mm カラムを用いたカロテノイド標準品及びビタミン E 同族体標準品の比較分析を行った。その時の分析例を図 1、2 に示した。

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α-、β-カロテンは同一測定条件下において、C18-5 < C22-5 < C30-5 の順で分離度が向上した。ビタミン E の場合、β-、γ-トコフェロールの芳香環に結合するメチル基数が同じであるため、C18、C22 型充てん剤では重複して溶出されたが、C30 型充てん剤ではγが先に溶出して分離が達成された。ビタミン E 分析で Navi C30-5 カラムを用いた場合、移動相にメタノール 100 %、またはアセトニトリル 100 %で比較検討した結果、後者を用いた分析系でβ、γの分離度が高くなる傾向が得られた。

以上、C30 型充てん剤 Wakopak Navi C30-5 の特性として、

  1. 形状認識能が高く、同族体の分離分析に優れている
  2. C18、C22 で分離困難な場合でも分離が期待できる

ことが確認できた。なお、Navi C30-5 は官能基がポリメリック型に化学修飾されており、この結合様式の基づく溶出順序の逆転など特異的な挙動を示すことがある。

今後、同族体の高精度な分離分析技術は必要不可欠になってくる。これらの分析に C30 型充てん剤がどこまで貢献できるか、応用データの蓄積が期待される。

参考文献

  1. L.C.Sander, K.E.Sharpless, N.E.Craft, S.A.Wise : Anal.Chem., 66, 1667(1994).
  2. C.Emenhiser, L.C.Sander, S.J.Schwartz : J.Chromatogr.A, 707, 205(1995).
  3. M.Pursch, S.Strohschein, H.Hä ndel, K.Albert : Anal.Chem., 68, 4107(1996).
  4. S.Strohschein, M.Pursch, D.Lubda, K.Albert : Anal.Chem., 70, 13(1998).
  5. T.Enami, N.Nagae : Chromatography, Vol.19, No.4, 380(1998).

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