【テクニカルレポート】フラッシュクロマトグラフ用パックドカラム Presep® (Luer Lock) Silica Gel (SP) 、Presep® (Luer Lock) NH2 の開発
本記事は、和光純薬時報 Vol.78 No.1(2010年1月号)において、和光純薬工業株式会社 試薬研究所 久保田 守が執筆したものです。
Presep®(プレセップ)シリーズは、ディスポーザブルタイプのシリンジ型カラムにクロマト用担体を充てんしたフラッシュクロマトグラフ、中圧分取クロマトグラフ用カラムであり、医薬品の候補化合物の探索や天然物からの有効成分の精製に威力を発揮するように設計されています。
この度、この Presep® シリーズに新製品として Presep® (Luer Lock) Silica Gel (SP) 及び Presep® (Luer Lock) NH2 を追加しましたので、その特長、製品仕様、カラム性能についてご紹介します。
Presep® (Luer Lock) Silica Gel (SP) の特長
Silica Gel (SP) は高純度の球状シリカゲルを充てんしたカラムで、コストパフォーマンスに優れたファーストチョイスのカラムです。
- 高い分離能
- 優れた再現性
- 圧力損失が低い
Presep® (Luer Lock) NH2 の特長
NH2 はアミノプロピル基を化学結合させた破砕状シリカゲルを充てんしたカラムです。シリカカラムで精製が困難な化合物に対して最適な分離条件を見いだすことができます。
- 順相、逆相両モードで使用可能
- 塩基性化合物の分離にトリエチルアミン、アンモニアの添加不要
- 圧力損失が低い
製品仕様及び物性(参考値)
表 1 および表 2 に示しました。
表1. Presep® (Luer Lock) Silica Gel (SP) の仕様及び物性
Type M | Type L | |
---|---|---|
カラムサイズ | 20(内径)x 90(長さ*1)mm | 27(内径)x 136(長さ*1)mm |
カラム容積 | 25 mL | 70 mL |
カラム材質 | PP*2 | PP*2 |
開口部側フィルター | HDPE*3(気孔径 20 µm、2 mm(厚さ)) | HDPE*3(気孔径 20 µm、3 mm(厚さ)) |
ルアー形状 | ルアーロック | 同左 |
充てん剤 | シリカゲル | 同左 |
細孔径 | 6 nm | 同左 |
細孔容積 | 0.75 mL/g | 同左 |
比表面積 | 475 m2/g | 同左 |
pH | 6.5 ~ 7.5 | 同左 |
充てん量 | 12 g | 31 g |
粒子形状 | 球状 | 同左 |
粒子サイズ | 40 ~ 64 µm | 同左 |
*1:ルアー部位を除く。 *2:ポリプロピレン *3:高密度ポリエチレン
表2. Presep® (Luer Lock) NH2 の仕様及び物性
Type M | Type L | |
---|---|---|
カラムサイズ | 20(内径)x 90(長さ*1)mm | 27(内径)x 136(長さ*1)mm |
カラム容積 | 25 mL | 70 mL |
カラム材質 | PP*2 | PP*2 |
開口部側フィルター | HDPE*3(気孔径 20 µm、2 mm(厚さ)) | HDPE*3(気孔径 20 µm、3 mm(厚さ)) |
ルアー形状 | ルアーロック | 同左 |
充てん剤 | アミノプロピルシリカゲル | 同左 |
細孔径 | 6.5 nm | 同左 |
細孔容積 | 0.7 mL/g | 同左 |
比表面積 | 450 m2/g | 同左 |
pH | 8.5 ~ 11.5 | 同左 |
充てん量 | 14 g | 34 g |
粒子形状 | 破砕状 | 同左 |
粒子サイズ | 38 ~ 63 µm | 同左 |
*1:ルアー部位を除く。 *2:ポリプロピレン *3:高密度ポリエチレン
仕様上の最大の特長は、カラムのルアー接続部を従来のルアースリップからルアーロックに変更した点であり、これにより使用時の安全性が確保されています。その外観を図 1 に示しました。
カラム性能
Presep® (Luer Lock) Silica Gel (SP)
Presep® (Luer Lock) Silica Gel (SP) Type L を用いたイソクラティックモードでの流速とカラム理論段数(N)のプロット(図 2)では、A 社カラム(球状シリカ、粒径 60 µm)と比較して高い N 値を示します。カラム間差について Type L の溶出挙動を確認した結果でも良好な再現性が得られています(図 3)。
Presep® (Luer Lock) NH2
試料にトルエン及びフタル酸ジブチル、フタル酸ジメチルの 3 成分を用い、n-ヘキサン/酢酸エチル = 90/10 (v/v%) のイソクラティックモードで Presep® (Luer Lock) NH2 Type M、Type L の基本性能を評価した結果、どちらも良好にベースライン分離が達成されています(図 4 (1), (2))。さらに、塩基性化合物の代表としてピリジンを選び、溶出するピークの形状を確認しましたが、テーリングすることなくシャープなピークとして検出されています(図 5)。
Presep® (Luer Lock) Silica Gel (SP) 及び Presep® (Luer Lock) NH2 を分離目的に応じて使い分けていただくことで研究開発の一助となれば幸いです。