これからはじめる フェロトーシス検出
同仁化学の「これからはじめる」シリーズでは、細胞内代謝・ミトコンドリア・老化細胞など様々な研究テーマで試薬選択ガイドと学術情報を紹介しています。
今回は鉄に依存したプログラム細胞死「フェロトーシス」についてご紹介します。(詳細は下記のリンクから)
もくじ
- フェロトーシスとは?
- フェロトーシスによる細胞死の機構
- エラスチンによるフェロトーシス誘導
- 関連疾患の研究
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
神経変性疾患 / がん / 鉄 - フェロトーシス研究用試薬の選択ガイド
過酸化脂質および鉄(Fe2+)検出試薬
酸化ストレスおよび細胞内代謝測定試薬/キット - 関連の学術情報
ホットトピック
フェロトーシスとLLPS(液-液層分離)
鉄イオンに依存した脂質過酸化物の蓄積により引き起こされるフェロトーシスは、プログラム細胞死の1つとしてアポトーシスとは異なる細胞死経路をたどることが明らかとなり、新たながん治療のターゲットとして注目されています。Nakamura*1らは新たなフェロトーシス促進剤を同定し、その活性制御にLLPSが関与していることを報告しています。FSP1は、代表的なフェロトーシス抑制タンパク質であるGPX4とは独立して脂質過酸化を防ぐタンパク質です。icFSP1と呼ばれる化合物は、FSP1の強力な阻害剤として同定され、FSP1を膜から細胞内再局在化させ、液滴様構造を形成させることでフェロトーシスを促進することが明らかとなりました。
*1 Toshitaka Nakamura et al., Phase separation of FSP1 promotes ferroptosis., Nature, 2023, 619, 371-377.
製品ピックアップ -フェロトーシス研究用-
細胞内鉄イオン測定試薬
FerroOrange ~高感度だから内在性の鉄も検出できる~
蛍光顕微鏡によるイメージング
鉄キレート試薬を添加することで無刺激の細胞に比べ蛍光強度が低下したことから、細胞内には内在性のFe2+が存在することが確認できた。
<検出条件> Ex: 561 nm、Em: 570-620 nm スケールバー:20 μm
トータルROS検出キット
ROS Assay Kit -Highly Sensitive DCFH-DA-
~蛍光顕微鏡、プレートリーダー、フローサイトメーターで検出可能~
①蛍光顕微鏡での検出
<検出条件>
Ex. 450 - 490 nm / Em. 500 - 550 nm
細胞種:HeLa細胞
②蛍光プレートリーダーでの検出
<検出条件>
Ex. 490 - 520 nm / Em. 510 - 540 nm
細胞種:HeLa細胞
③フローサイトメーターでの検出
<検出条件> FITC laser gain:215 V 細胞種:HeLa細胞
過酸化脂質検出蛍光試薬
Liperfluo ~フェロトーシス研究論文でも使用実績あり ~
過酸化脂質によるLiperfluoの励起および
蛍光スペクトル変化(エタノール溶媒中)
Liperfluoの活性酸素種に対する反応選択性
これからはじめるシリーズ ~試薬選択ガイドと学べる情報~
フェロトーシスの他にも様々なテーマではじめるシリーズをご用意しております。
細胞内代謝
図解と学術情報、セミナー動画を掲載
ミトコンドリア
研究に適した試薬を分かりやすく解説
老化細胞
学術情報を交え関連研究分野を概説
細胞増殖/細胞毒性
測定原理から試薬選択までをサポート
液-液相分離(LLPS)
疾患との関連性や学術情報、関連製品を掲載