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富士フイルム和光純薬創立 100 周年記念「第4回 次の100年に向けて」

本記事は、和光純薬時報 Vol.90 No.4(2022年10月号)に掲載されたものです。

本シリーズでは、これまでの3回の連載を通じ、当社の創立から100年の歩み、製品の販売体制や注力製品などをご紹介してきました。最終回となる本回では、さらにこの先の100年に向けた当社の取り組みとして代表取締役社長のインタビューを掲載させていただきます。

社長インタビュー

Q. 今後の試薬事業の展望は?
試薬は研究開発、検査、分析などに不可欠であり、今後も重要な役割を果たしていくことに変わりありません。研究領域としては、バイオ関連分野、特に再生医療が活発であり、製薬業界では核酸医薬、抗体医薬、ペプチド医薬など中・高分子の開発が加速しています。アカデミア・企業でのこれらの研究開発活動に対して研究用試薬及びサービスの提供をより一層充実させるとともに、成長市場であるバイオ医薬品の創薬支援にも事業領域を拡大していきます。 また、富士フイルムグループとの連携により、積極的に海外販路の拡大も進めていきます。


Q. 期待を寄せる新製品・サービスは?
今、力を入れているのが、医薬品製造用原料「CertiProシリーズ」です。いわゆるGMP管理など、医薬品に求められる品質が厳しくなる中、高品質な原料を提供することで業界全体のリスク管理と品質の向上に貢献するために立ち上げたブランドです。日本薬局方や、一部品目では米国や欧州の薬局方にも対応し、お客様の多様なニーズに応じた製品供給が可能となります。世界的に伸びているバイオ医薬品市場に向けて、グローバルに展開していくことも視野に入れています。



さらに、従来から展開してきた受託サービスに加えて、富士フイルムグループとの連携により、新たな医薬品のシーズ探索や有効性・安全性評価などのサービスを提供する創薬支援CRO(Contract Research Organization)ビジネスを展開していきます1)。具体的には、FUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.が開発・製造するヒトiPS細胞由来分化細胞とAI技術を組み合わせた、医薬品候補物質の有効性・安全性評価及び作用機序解析のサービスなどを提供。製薬企業やバイオベンチャー、アカデミアなどの創薬研究を強力にサポートしていきます。

また、当社東京工場がNITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)から金属元素に係る標準物質生産者の包括的認定を受けました2)。これまでは、新規標準物質について、同物質の認定を都度取得する必要があり、市場への供給に時間を要していました。包括的認定により、標準物質ごとの認定を必要とせず、新規標準物質を供給できるようになります。

今後、東京工場では、金属元素の測定に必要な新規標準物質を自主的に計画・管理・生産し、標準物質の供給リードタイムを大幅に短縮し、お客様のすばやく化学分析・測定を行いたいというニーズに応えていきます。

参考文献

  1. 富士フイルムホールディングス株式会社ニュースリリース:創薬支援CROビジネスに本格参入(公開日:2023年3月16日) https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/9263
  2. 富士フイルム和光純薬株式会社ニュースリリース:新規標準物質の迅速かつ安定的な生産・供給が可能 国内初「標準物質生産者の包括的認定」を取得(公開日:2023年3月2日) https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/news/218

当社は、高品質な試薬のご提供はもちろん、移り変わる多様なニーズにお応えできるよう製品の開発・生産の向上にも努めて参りました。おかげさまでこの100年、国内試薬業界のリーディングカンパニーとして、前進を続けて参りました。 これからも、研究者の皆様の研究活動に貢献するイノベーションパートナーとして、「皆様のお役に立ちたい」という創業時からの想いを、これからもカタチにして参ります。

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