富士フイルム和光純薬創立 100 周年記念「第3回 試薬事業の発展と今後」
本記事は、和光純薬時報 Vol.90 No.4(2022年10月号)に掲載されたものです。
第1回でご紹介した通り、大正初期、学術研究に用いられる試薬のうち国産品はわずかでした。そんな中、1922(大正11)年6月に「武田化学薬品株式会社」として当社が誕生しました。「試薬の提供を通じて研究者の方々のお役に立ちたい」という想いは、今日へ続く当社試薬事業の基本的な考え方になっています。
現在、当社の試薬検索サイトで取り扱っている試薬は約180万品目にわたります。汎用試薬から遺伝子工学・分析試薬まで、お客様のニーズに対応した幅広い製品を提供しています。
今後ますます市場拡大が見込まれる再生医療やワクチン等のバイオ医薬は、当社にとって注力分野のひとつです。たとえばiPS細胞の研究に欠かせない試薬に、当社製品が使われています。有機合成に強みを持つ当社ですが、昨今ではこうしたライフサイエンス分野において、新しい機能を持つ和光純薬独自の商品を開発し、広がる再生医療・バイオ医薬市場へ対応しています。
試薬事業部長インタビュー
Q. 試薬事業の「次の100年」は?
富士フイルムグループの一員となり、アカデミアのみならず、「産業界で貢献できるものを」という意識が高まる中、試薬事業には無尽蔵のチャンスがあります。これをものにするには、生産原料で採用してもらう技術が必要です。特にバイオ医薬品分野で原料として採用してもらうには、GMPなど、新たな規格での生産が求められます。そして、どのような規格をクリアする必要があるか、確実に聞き取り、反映させる、「お客様に寄り添ったサービスの提供」を実現していくことで、当社の付加価値をより一層高めていく必要があります。
当社には、過去100年の歴史を通じてお客様との間で築き上げた膨大なデータがあります。「温故知新」が、これからの試薬事業の成長に欠かせないキーワードになると思っています。