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【さっぽろARTクリニック 倉本先生:凍結デバイスへのこだわり】

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当社で取り扱っている凍結融解用デバイス「N-Diamour」の導入された、さっぽろARTクリニックの倉本先生にインタビューして参りました。

保険適用で感じていることを教えてください。

昨年4月に保険適用開始してから採卵、移植共に件数が増加しました。新患さんだけではなく、既存の患者さんで今まで体外受精まで受けていらっしゃらなかった方が、保険適用をきっかけにステップアップされるケースも多く見受けられ、予算的に今まで諦めていた方が相当いらっしゃったという事を実感しました。そのような患者さんにとって、体外受精はようやく進めた最後の砦であり、私たちはクリニック全体でその期待に応えられるような医療を提供していかなければならないと感じています。

N-Diamourを試そうと思ったきっかけは?

保険適用の移植回数制限を踏まえ、1回1回の移植の成功率を高いものにしていかなければなりません。
昨年からの件数の増加に対して、培養士の数は変わっていないため、個々の負担が増えています。そこで、どのレベルのスタッフでも安定した凍結融解技術を行うために少しでも扱いやすいものをと思い、今回N-Diamourの検討をしました。

N-Diamourを初めて使用した際の、率直な感想を教えてください。

従来品と比較して、胚を乗せるフィルム部分の厚みと幅があり、コシがあります。この厚みと幅のおかげで従来品より胚を乗せやすかったです。また、フィルム部分のしなりがないので、液体窒素下でキャップがはめやすかったです。
あとは柄の部分も太めなので、名前などを書き込んだり、ラベルを貼るにはゆとりがありました。それでいて、ケーンにも従来品と同じ本数で入れられました。

まだ初心者で、緊張して手がぶれやすかったり、フィルムに乗せる際に何個かドロップを打っていき、その中のどれかに胚が入っていればいいというような凍結方法を行っている方には、乗せる部分の面積の広さと、しならない硬さを備えた本品は使いやすいのではないでしょうか。

凍結融解の手技に関するアドバイスなどあれば教えてください。

凍結工程では、ES液、VS液での胚の状態をしっかり観察し、その状態に合わせて時間やピペッティングの回数を変えるようにしています。
融解工程では、急な温度変化や濃度の変化がないように心がけており、またピペット操作も胚の負担にならないように気を付けています。

最後に一言お願いします。

不妊治療が保険適用となり、一般の方にも体外受精がより身近に感じていただけているように感じます。その中、保険適用となっている培養を行うメインの立場である私たち培養士が、国家資格ではないことはほとんど知られておらず、その事実に相当驚かれます。今後、少子化を抑える術の1つとしても国へ貢献できるであろうこの生殖医療に携わる身として、胚培養士が一刻も早く国家資格となり、世間に認知される存在になることを望みながら、明日も卵に患者さんに立ち向かいたいと思います。

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