凍結デバイス「N-Diamour」のご紹介
今冬、三菱製紙株式会社から凍結デバイス「N-Diamour」が発売されます。
特長① 使いやすい製品設計
- 液体窒素中でも見やすいよう、デバイス本体部を有色にしております(クリアカラーではありません)。
- キャップをするだけのシンプルな開放型となっております。
特長② 凍結融解速度のシミュレーション
- 本製品を使用した際の凍結融解速度、そのほかの情報をシミュレーション解析により算出しています。 デバイス上の胚は、適切に凍結・融解される設計となっています。
特長③ 安心安全
- 溶出物の化学的な分析、細胞毒性試験、マウスエンブリオアッセイ等にて安全性が確認された材料を使用しています。
- エンドトキシン試験、マウスエンブリオアッセイ、滅菌にて品質管理をしています。
製品開発者 松澤さんからのコメント
1.不妊治療領域の参入理由
まず、本製品について「なぜ製紙会社が凍結デバイスを開発したのか?」と気になる方もいらっしゃるかと思います。昨今の潮流に加え、新型コロナウイルスによるリモートワークの増加により、ペーパーレス化が急速に進んでいます。一方で、製紙会社には、「紙」だけでなく、他分野に活用できる多くの技術があります。弊社の新しい事業領域の一つとしてヘルスケア領域に取り組んでいます。
ヘルスケア領域でのニーズに注目する中、北里大学獣医学部の先生と出会ったのが開発のきっかけです。2019年、我々はインクジェット印刷用紙で培った吸収技術等を生かし、容易に液量調節できる凍結デバイス「Diamour」を発売しました。
2.N-Diamourの開発経緯
多くの施設にDiamourのサンプル評価を実施いただき、採用施設が少しずつ増え、大変嬉しかったです。吸収体による液量調整機能は、経験の浅い培養士様にはご支持をいただき、技術の平準化を強く意識する施設様中心にご採用をいただきました。
一方で、一部のお客様から、「(吸収体があるために)従来品との違いが大きすぎ、慣れるのが大変そうですね。吸収体以外の部分も、よく考えて作られています。吸収体がないタイプはないのでしょうか?」というお声をいただきました。
「Diamour」は、吸収体に限らず、設計の随所に多くの培養士様の声を具現化したデバイスであり、その点を評価いただいたことは大変嬉しく思いました。ただ、その一方で、製紙会社として、吸収体を出発点とした製品開発をしてきただけに、この顧客ニーズに対しては、大きな葛藤がありました。多くの議論を交わし、「吸収体を無くした製品もラインアップのひとつとしても良いのではないか」という結論に至りました。
このような過程でできたのが、N-Diamourです。
従来のDiamourと同様、安心安全の製品設計にこだわっておりますので、ぜひ一度お試しください。