ぬれ張力試験用混合液について
プラスチックフィルム上に塗装したり、コーティングを施したり、またはプラスチックフィルムを接着する場合、プラスチックフィルムがインキ、コーティング剤、接着剤などを表面が濡れた状況(まんべんなく塗られた状態)にする必要があります。この濡れた状況を示す一つの尺度としてぬれ張力があります。 表面に水玉が載った状態は濡れているとは言いません。(図1)
水の様に表面張力が強い液体で、表面を濡らすには、フィルムの表面が、水に馴染むような性質(極性が高い)にしなければなりません。逆に、有機溶媒のような、表面張力の弱い溶媒では、フィルムの表面は、水を弾くような性質でも濡れます。 よって、プラスチックフィルムの塗装、コーティング、接着を行う場合に、プラスチックフィルムぬれ張力を知ることは重要なことです。 (JIS K6768 に規定)
- ぬれ張力試験用混合液とは
JIS K6768 に規定されている"プラスチック-フィルム及びシート-ぬれ張力試験方法"に使用する試薬です。 JIS K6768 解説に次のように書かれています。プチスチックフイルムの塗装、コーティング、接着を行う場合に、インキ、コーティング剤、接着剤がフィルムに保持することが要求され、この保持する能力を示す一つの尺度としてぬれ張力があります。(概略)
- ぬれ張力の定義
表面張力が順を追って異なるような一連の混合液をプラスチックフィルムの表面に塗布し、ちょうどフィルムを濡らすと判定された混合液の表面張力(μN/cm){dyn/cm※}の数値をいいます。 mN/mの単位で表されたこの表面張力の数値が品名のNo.に該当します。例えば No.31の表面張力は31mN/m(310μN/cm)です。
※dyn/cm=1mN/m(=10μN/cm)(SI単位への統一)
- 試験方法
試験片の上に試験用混合液を数滴滴下して、直ちにワイヤバー、綿棒またはブラシを使用して試験用混合液を広げます。液体の量は、たまりを作らないで薄層を形成する程度にしてください。判定は、試薬を塗布したのち2秒経過した時点での液膜の中央部の状態で判定します。塗布した液膜が破れを生じないで、もとの状態を維持しているとき、"ぬれている"と判定し、破れが生じているときは、"ぬれていない"と判定します。(図2)
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