手技紹介:閉鎖型デバイス
凍結用デバイスの種類
凍結用デバイスは、キャップの有無により2種類の手技があります。
①開放型
デバイスにキャップを付けず、直接液体窒素に投入する方法です。Open法とも呼ばれます。日本では広く普及されていますが、米国のFDAでは認められていません。開放型では、胚が液体窒素に直接暴露されるため、ウイルスや細菌感染のリスクを懸念する声もあります。
②閉鎖型
デバイスにキャップを付けてから、液体窒素に投入する方法です。Closed法とも呼ばれ、米国のFDAで認可されている凍結方法です。
Cryolockを用いた閉鎖型デバイスの手技紹介
ラボで閉鎖型を用いて凍結融解を行っている施設の方、国内外の輸送検体時を融解する際に閉鎖型を用いる必要がある方向けに、閉鎖型の手技紹介しております(参考:Biotech社)。
凍結時プロトコル
- S-Cryolockロゴと同じ側面に患者情報を記入したラベルを貼ります。
- 凍結培地のプロトコルに従って、検体を準備します。
- S-Cryolockロゴの同じ側面、および黒部分内側の端から約3 mmに最大2個の胚をロードします (図参照)。凍結培地の量を調整し、可能な限り最小の培地量とします。1 μL以下が望ましいです。培地多量の場合、キャップの内部の先端部分に培地が付着する可能性があります。
- デバイスを液体窒素に浸す直前に、本体にキャップに挿入し、しっかりと固定します。デバイスを曲げないように注意してください。
- デバイスをすばやく穏やかに液体窒素に入れ、ラボのプロトコルに従って窒素タンクに保管します。 Sデバイスは常にキャップを下に向けて保管してください。(注:先端が凹状であり、凍結培地1 μL未満にすると検体は保持され、検体の移動を防ぎます。)
融解時プロトコル
- プロトコルに従って融解培地を準備します。
- 融解する検体を準備します。
- 顕微鏡の視野の下に融解培地を置きます。
- 鉗子を使用してS-Cryolockロゴを上に向けて保持し、液体窒素からすばやく取り出します。
- 鉗子を使用してデバイスを液体窒素から取り外し、キャップをデバイス本体から真っすぐ引き離しながらキャップを素早く取り外します。
- 37℃の融解培地へデバイスの先端を浸漬させます。
- 顕微鏡下でデバイスを静かに振り、検体を剥離させます。
- 融解培地のプロトコルに従って温度を維持します。
- 手順が完了したら、S-Cryolockを廃棄します。(注:ステップ4から6への移行は、5秒以内にする必要があります。)
卵子・胚凍結用デバイスのご紹介
4月より凍結用デバイスCryolockシリーズ (製造元:Biotech社) を販売開始しました。ラボのスペースの効率化、保険適応による患者増に備えたい方におすすめしております。
特長
- S-Cryolockは太さ2.4 mmであり、9 mmゴブレットに7本収納可能
- 開放型/閉鎖型に対応
- FDA承認
- 様々な凍結培地と互換性あり
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