【クロマトQ&A】イオン対クロマトグラフィーの平衡化時間やカラムの洗浄方法は
本記事は、Analytical Circle No.17(2000年6月号)に掲載されたものです。
前号(16号)のクロマトQ&A(14)で、イオン対クロマトグラフィーの場合は平衡化に時間を要することがあると書いてありました。また使用後のカラムの洗浄は注意する必要があると聞いたこともあります。イオン対クロマトグラフィーでの、カラムの洗浄方法を教えて下さい。
イオン対クロマトグラフィー法は、移動相のpH変化だけでは解離が制御できない酸性イオン成分や塩基性イオン成分の分離に広く用いられています。
イオン対試薬としては、酸性官能基を持つ成分に対しては第4級アルキルアンモニウム塩が、塩基性官能基を持つ成分にはアルキルスルホン酸塩がよく使用されます。
ここではこれらイオン対試薬を添加した移動相使用後の、カラム洗浄方法について述べます。
第4級アルキルアンモニウム塩を添加した場合
第4級アルキルアンモニウム塩、例えば水酸化テトラブチルアンモニウムを添加した移動相を使用した場合、いきなり水を流すとカラム内の液が塩基性側に傾き充てん剤を劣化させることがあります。まず0.1%りん酸水溶液で洗浄後、水、保存溶媒の順に置換して下さい。各溶媒の通液量の目安としてはカラム容積の10倍量程度です。
アルキルスルホン酸塩を添加した場合
アルキルスルホン酸塩を添加した移動相を使用し、なかなかイオン対試薬が洗いきれなかったという経験をされた方も多いと思います。この様なケースでは最初に水ではなく、有機溶媒(例えばメタノール、アセトニトリル)と水を等量混合した溶液で洗浄するのが効果的です。その後水、保存溶媒へとカラム内を置換します。その際圧力の上昇に注意して下さい。各溶媒の通液量はカラム容積の15~20倍量程度です。一度お試し下さい。